神様 2011 の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル神様 2011
発売日販売日未定
製作者川上 弘美
販売元講談社
JANコード9784062172325
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » か行の著者

購入者の感想

1993年に発表されたデビュー作「神様」と、2011年の福島原発事故を受け新たに書かれた「神様2011」が併録されています。

「神様」の一部が原発事故以降の様子に書き換えられています
穏やかに続くはずだった日常生活が突如奪われ大きく変わってまったあの日
同じ場所同じ人間がそこにいるのに、この変わりようは何なのでしょう

川上さんも色々な思いを胸にその後を過ごしていらっしゃるようです

川上さんの「神様」は絶対神ではありません
太陽、山、海、川、風、雨、食物、さらにはトイレまで(ご不浄と言ったほうが良いかな)
古来より八百万の神々と共に生きてきた日本人
地震、台風、さらには温暖化など、自然をコントロールしようなど、畏れ多い話です
しかし、科学の発展と共に生きてきた私たちはそのことを忘れがちです
あの大震災を経験した今、日本というこの国をもう一度きちんと見直すべき時が来ているのでしょう

面白いよね

神様という短編だけ入った本。
前半に以前収録されたままの神様、
後半にあのことがあった後の神様2011。

「神様」、大好きな物語だった。くまと散歩に出るという突飛な設定
なのに平和でほのぼのとしてて、温かく
でも生きていくことの大変さや悲しみもあって。
この作品から急激に川上弘美さんが好きになり、以前に
出ていた作品、以後の作品すべて買いそろえている。
絶対にはずれのない作家としてすごく信頼している。

神様2011を読んで、一見平和な日常が切り取られているのに
防護服や、ガイガーカウンター、今日の線量など、リアルな
言葉が少しだけちりばめられていて、悲しかった。
悲しいけど、あのことをなしにすることは出来なくて、
あのことと折り合いながら生きていかなくてはいけない。

日常はずっと続くと思っている人間の甘さを
震災はすべて打ち砕いて流していってしまった。
それがすごくリアルに書かれている。

才能のある人はその人なりの、ない人だってその人なりの
震災のとらえ方、自分が今出来ることを行うという姿勢は
変わらないのだけれど、川上弘美さんは才能のある人として
あのことを絶対に人々に忘れさせない手段を選んで実行したのだと思う。
平和な日常があのことという震災によって
180度変わってしまった。ほとんどの人が放射性物質や放射能の
ことについて専門用語まで知ってしまった。後戻りはできないし
なかったことにもできない。あのことを忘れないで日常を
続けていくしかないのである。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

神様 2011

アマゾンで購入する
講談社から発売された川上 弘美の神様 2011(JAN:9784062172325)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.