星の巡礼 (角川文庫) の感想

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参照データ

タイトル星の巡礼 (角川文庫)
発売日販売日未定
製作者パウロ・コエーリョ
販売元角川書店
JANコード9784042750024
カテゴリ文学・評論 » 評論・文学研究 » 外国文学研究 » スペイン・ポルトガル文学

購入者の感想

キリスト系教団RAMでマガスの称号とその証の剣を授かる事に失敗したパウロは
再度その資格を試される為に隠された剣を求めて、現実世界の仕事や生活を一時
放れサンチャゴ・デ・コンポステーラを目指す長い巡礼に向かう決心をする。

快適な20世紀の文明世界から離れて、厳しく時に美しい自然の中を体とナップ
サック一つで辿っていくパウロとその”ガイド”のペトラス。道なりの風土風俗と
過去の歴史とに彩られた星の道、銀河の道。
自分自身の探求の旅が始まる。ーーーー

この本はパウロの処女作で次作のアルケミストが世界的に有名になったので
そちらの評価の方が世間一般ではとても高いと思います。でも自分がパウロの
作品中で一番お気に入りなのはこの本ですね。

ピルグリムの巡礼路を辿るストーリーの宗教的要素は当然凄く高いです。
しかし本当にキリスト教云々だけの本であったなら自分も興味を示さず
中途で本を閉じたでしょう、でも無宗教の自分にも何故かこの作品はとても
好感が持てます。その理由は全編を通して根底に脈々と流れる人間愛がはっきり
と伝わってくるからでしょう。

あまりに人間的なパウロはちょっと駄目なところもありますがとても情感豊かで
感情移入しやすいし、道案内としてだけでなく、導くものとしてのガイドだった
聡明且つ時にシニカルで無愛想なペトラスも、もし自分が人に何かを教える立場
だったら、と想いを馳せるとどっぷり感情移入できます。

また一見オカルティックな実習は、秘匿されて然るべき先人達の知恵の結晶
のはずで、ゆえにパウロの宗教云々関係無しに一小説として世界にバラ撒く
行為は彼の世界に対する”良いものは無条件に皆に分け与えればいい”みたいな
愛情の深さが垣間見えて素敵に思えますね。

師匠と弟子、先輩と後輩、道に迷った者とその手を引く者。一度自分の通って
来た道を歩いていこうとする者へのアドバイス。

たった今「星の巡礼」を読み終えて、サンチャゴの巡礼を私自身も歩き終えたようなそんな充実感に陶酔しています。
 この新世紀にも脈々として古代からの秘密が人から人へと受け継がれているということは、人の本質は何も変わっていないということなのかもしれませんね。
 私が最初に出会った本は「アルケミスト」でした。私は、この物語に、人生のすべてがあると思いました。それ以上何も言えないほど強く感動したのです。それから「第五の山」を読み。「ピエドラ川のほとりで私は泣いた」を読みました。
 これらの本のすべてに共通するのは、日常の中の奇跡と、すべての答えを自分自身の心だけが知っているということです。
 そして、物語の主人公達は、はじめは私たちと変わらない身の丈です。「アルケミスト」の主人公サンチャゴは、羊飼いで旅を夢見る普通の少年であるし、「ピエドラ川のほとりで私は泣いた」の主人公ピラールも田舎の片隅で、安定した生活を思い描いている普通の女性です。いまの日本でも、あちらこちらで見ることができる人々のようでもあります。しかし、彼、彼女らの変容は、実にすばらしいのです。ほんの小さな日常の出来事が、徐々に、別の世界の領域へと導いてくれます。そして一見到達できそうもないような複雑で難解なものが答えではなく、真実は至ってシンプルなものだということにも感動します。
 人生の変化は、なんでもないようなところから始まります。羊飼いの少年は、本を読んでいるときに、隣に座ったおじいさんとの出会いでした、ピラールの場合は、幼なじみから受け取った一通の手紙から、それぞれの旅をはじめたのです。そして、自分自身の内なる声に耳を傾けるのです。というよりも、今までごまかしてきたけれども本当はこういう自分でありたいというもう一人の自分の自己主張を知らないふりをしてはいられなくなるのでしょうね。
 星の巡礼では、たくさんの実習が出てきます。生きたまま葬られる実習では「何度もあとでいつでも出来るからと思って、自分のやりたいことをやりそこなった」ことをパウロは思い出します。その言葉に私の生活や、考えが次々と重なってゆきます。それはピラールの姿にも見られます。彼女は、「私は、毎日毎日ただ自分を縛り付けるものを得るために、超人的な努力をして」いると感じます。

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