卍(まんじ) [DVD] の感想
参照データ
タイトル | 卍(まんじ) [DVD] |
発売日 | 2012-10-26 |
監督 | 増村保造 |
出演 | 若尾文子 |
販売元 | 角川書店 |
JANコード | 4988111288868 |
カテゴリ | DVD » ジャンル別 » 日本映画 » エロス |
購入者の感想
久しぶりに見直して、また感心した。いま現在の眼で見ていると、これはカリスマを中心にした新興宗教ないしは集団家族の道行というような感じになる。というのは、さきごろ新聞紙面を賑せた「尼崎大量殺人死体遺棄事件」を想起させる点があるからだ。これが少し以前というかだいぶ以前、バブル崩壊のあの時代であれば、興銀を破たんの淵に追い込んだある女将の肖像が思い浮かぶわけだ。一人のカリスマの意のままに人がからめ捕られていく、そうしたさまがじつに見事に写し撮られているように感じられた。もともとの原作はおそらく同性愛という奇矯に見える人間のつながりをセンセーショナルに主題化しながら、その実、人間同士の主従関係のでき方を愛欲の中に見て取った異色作なのだろうが、そのどろどろとした関係性は、実社会のなかにある、あらゆる関係性に存在するということを言わんとしたものではないのか、だとすれば、いつの時代であっても、原作を読み、またこの映画を見れば、その時代なりの感想がえられよう。おもしろい題材を見事に映像化した増村監督の手腕は並みのものではない。またシナリオ化した新藤兼人の職人技にも脱帽である。