アウトギャップの無限試算 (ソウルドロップ) の感想

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参照データ

タイトルアウトギャップの無限試算 (ソウルドロップ)
発売日販売日未定
製作者上遠野 浩平
販売元祥伝社
JANコード9784396208905
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学

購入者の感想

 ネット上に流れた1本の動画に移っていたのは、一人のマジシャンと、そのカードマジックの間に紛れ込んだ一枚の予告状だった。「これを見た者の、生命と同じだけの価値あるものを盗む」それはペイパーカットからの本物の予告状なのか、あるいは彼を誘い出す罠なのか?

 その動画に移っていたマジシャン、インフィニティ柿生こと柿生太一は行方不明となっているため、サーカム保険のオプ・伊佐俊一と千条雅人は、彼と最後に仕事をしたマジシャン、スイヒン素子こと村田素子に事情を聞きに訪れたものの、何の情報も得ることはできなかった。しかし、彼らが去った後で、彼女の許に飴屋という人物が訪ねて来る。
 一方、同じく動画を見た東澱奈緒瀬は、それが本物か誘いかを確かめるために、奇術師の側から調査を進めていた。そして紹介を受けたのが、一流の手品師にマジックの種を卸すという天才中学生・種木悠兎だった。

 手品には種がある。これは当たり前。しかし全ての奇蹟的な出来事に、種があるとは限らない。種があると思って見ていれば、どんな不思議なことが起きても、具体的にどうやっているか分からなくても、何となく安心できてしまう。それはひとつの、心の防衛機構として働いているとみなすこともできるだろう。
 ペイパーカットが起こす現象は本物の奇蹟かもしれない。今回、彼がやろうとしたことは、それを種のある奇蹟で越えようとする行為だ。そしてそれは、見る目のある者には本物には及ばないものとしてしか映らないだろう。

 しかしかなり重要なことは、その見る目のある者というのは、さほど数が多くないのかもしれない。それならば、種のある奇蹟で目を慣らしておけば、種のない奇跡も種のある奇蹟と誤解してくれるようになるかもしれない。そうなれば本物も、陳腐なもののひとつとしてしか扱われないであろう。

相変わらず、心に何も残らない。いや、何もというのが語弊がある。喪失感が残るのだ。読んでも、読んでも、読み終わっても、心は空っぽになる。

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