ガリア戦記 (岩波文庫) の感想

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参照データ

タイトルガリア戦記 (岩波文庫)
発売日販売日未定
製作者カエサル
販売元岩波書店
JANコード9784003340714
カテゴリ歴史・地理 » 世界史 » ヨーロッパ史 » ヨーロッパ史一般

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 ローマの武将・政治家ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)によるガリア(現在のフランス)遠征の記録で、引き締まった文体は古来からラテン語の名文として評価されている。事実を淡々と記述することによって迫力のある戦記となっている。
 翻訳としては講談社学術文庫に国原訳がある。比較すると、この岩波文庫の近山訳は原文に忠実であろうとするあまりぎこちない箇所がある。例えば第5巻の最後の文を近山訳では「カエサルはこの事件後やや静かなガリアをもつことになった」としているが、これは国原訳の「ガリアはこのあと当分の間、やや平静な状態を維持する」の方が良い。また近山訳は一旦訳したものを戦後訳しなおしたためか、硬い表現と柔らかい表現が混在しているところがある。例えば第7巻4の中で近山訳が「重罪は火と凡ゆる苦しみで殺し、」としているが、これは国原訳の「大それた違反を犯した者には、火焙りやあらゆる拷問にかけて殺した」の方が文章の中における表現の統一がとれている。しかし全般的には、近山訳の方が丁寧に言葉を補って訳されており、私にはわかりやすかった。例えば第6巻の5で国原訳は「この計画を思いつくと、全軍隊の輜重をトレウェリ族のラビエヌスのもとに送り、」としているがこれではガリア人のトレウェリ族とローマ人のラビエヌスの関係が明確でない。近山訳では「この考えから全軍の荷物をトレーウェリー族にいるラビエーヌスに送ることにして」としている。「の」を「にいる」にするだけで明快になっている。
 なお、紀元前の話なので、背景も含めて知りたい方は塩野七生「ローマ人の物語(4) ユリウス・カエサル ・ルビコン以前」を読まれたい。

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