風の谷のナウシカ [DVD] の感想

HDリマスター、という事で画質を旧版DVDと比較すると流石に画面のブレや塵・汚れの低減された綺麗なものになっておりますな。もう持っていないのでうろ覚えですが単品版のBDと比較すると、色の彩度や解像度という点ではメディアの限界か・・・という気もしますが、あれは正直画面のざらつきというか粒状感が気になって集中出来なかったので、本商品の方が観易くて良いかなあ。あとBDは画面が明るすぎたような気もしたので・・・。発色もなかなか綺麗で、DVDとしてなら申し分ない品質でないかと。リマスター版BDもそのうち単品で出そうですが。それと封入物は特にありません（スタッフクレジット等が書かれた紙1枚くらい）。

【映像特典】
絵コンテ、予告編集、「ジブリはこうして生まれた」（約28分）

【音声仕様】
日本語（2.0chモノラル/ドルビーデジタル）
英語（2.0chモノラル/ドルビーデジタル）
オーディオコメンタリー（2.0chステレオ/ドルビーデジタル）

ナウシカは文句なく宮崎駿の作品のなかでナンバーワンだと思っている。
ワンシーン、ワンシーンごとに涙してしまう。
ナウシカという存在がなんといっても素晴らしい。

テトに噛まれても、じっと我慢して、「ほら、怖くない」とテトを安心させてしまうところから既に涙。
涙を流すシーンを挙げたらキリがない。
もちろん最後はオウムに生き返してもらうところで涙。
そして腐海の森で木が芽を出したところで希望が見える。

とにかく頭から最後まで無駄なシーンはなく、音楽も素晴らしく、その火の7日戦争のあとの世界観といったらない。
虫が森を守る。
ナウシカはそれを信じる。
自然の回復力の偉大さと人間の支配しようとする愚かさ、見事に見せてくれた。

この自然の回復力、原発に犯された福島の回復力を信じたいと思わせる。

ナウシカの魅力は、やはり、ナウシカのキャラクターだろう。
深い慈愛と冷たい怒り、冷静な判断力、こんな女性がいたら文句ないと思う。
そして、虫との交流をはかれる力、何をとっても魅力的だ。

火の7日戦争は、世界の原爆で起こる未来に起こるかもしれない戦争を思わせて怖くなる。
それでも自然は回復力を持っているのだと宮崎駿は説いてみせる。
人は本当に自然と共存できるのか、そんなことを考えさせてくれる良作である。

ナウシカと共に、その焼直しとも思われるもののけ姫を見比べて見るのもよいだろう。
とにもかくにも、これ以上の傑作はないと私は思う。