Think Simple ―アップルを生みだす熱狂的哲学 の感想

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タイトルThink Simple ―アップルを生みだす熱狂的哲学
発売日2012-07-31
製作者ケン・ シーガル
販売元NHK出版
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カテゴリ »  » ジャンル別 » コンピュータ・IT

購入者の感想

「シンプルであることは、複雑であることよりも難しい。物事をシンプルにするためには、懸命に努力して思考を明確にしなければならないからだ。だが、それだけの価値はある。なぜなら、ひとたびそこに到着できれば、山をも動かせるからだ」(スティーブ・ジョブス)

アップルと仕事をした経験やスティーブ・ジョブスの考え方やエピソードを中心に、マーケティングにおいてシンプルに徹することの重要性を説いている本。

Think Brutal, Think Small, Think Minimal, Think Motion, Think Iconic, Think Phrasal, Think Casual, Think Human, Think Skeptic, Think Warという、Simpleを中心とした10個のKeywordに沿い、Think Simpleに徹して、Think Different を実現するヒントが述べられている。

厚さはあるが難しくはない。コンセプトがはっきりしているし、「私の記憶が確かならば、モーセの十戒に次の戒律があった。『汝、隣人のマーケティングを望むなかれ』」といったユーモアも時々忍ばせてある。「デルがこの業界で、何かを最初に作ることはまずない」などと、競合であるDELL, IBM, HP, Microsoftにおけるシンプルとは反対の出来事との比較や皮肉も顔を出している。

また、スティーブ・ジョブスに関心がある人にとっては、既に伝説となりつつある時代に彼とその周辺の人々との間でどのような議論が行われていたかを、断片的だが垣間見ることがきる点も興味深い。例えば、NEXTの名前は実はビル・ゲイツの言葉がヒントになっていたとか、ジョブスはiMacについて当初MacManと名づけようと主張していたのは知らなかった。

「考えることは大きく、それ以外は小さく」「プロセスが王様のときに、アイディアはけして王様になれない」「イノベーションは人が廊下で出くわしたり、夜の10時半に電話をかけあったりするところから生まれるのだ」「(NOといわれる場合)ときには、本当にできないこともある。でもそれ以外は、無理そうだというだけだ」。

オリジナルは2012年リリース。邦訳は、2012年5月25日リリース。筆者ケン・シーゲルは、アップルの『i』の革命を生み出すきっかけとなった『iMac』の名付け親である。そのことについては、あの『スティーブ・ジョブズ II』の106ページにもはっきり書かれている。それ以上に、ジョブズの最後の15年間(それは倒産寸前から時価総額世界一という途方も無い15年間)をともに過ごした人物ということで、ある意味、あのマイルス・デイビスとマーカス・ミラーの関係のようなものを読んでいて感じた。

まず興味深いのは原題だ。『Insanely Simple』である。シンプルにこだわるスティーヴ・ジョブズにふさわしいタイトルだ。人は結局、シンプルなものを選ぶ。ジョブズの基本概念だ。E3に登場してくる新製品群を見ながら、『それってホントにシンプル?』ってやはり考えてしまった。デザインとしてまずシンプル?操作方法はシンプル?パッケージは?と思ってしまう。

アップルの広告代理店を長く務めたシャイアット・デイは『充分でよい、では不十分だ』と書かれたTシャツを配ったことで古参Macユーザにはおなじみだが、アップルの今の製品群は考えて考えて考えて、そぎ落として、そぎ落として、そぎ落として、今のカタチになっているものを感じるものばかりだ。それは使い込むほどに分かる。そしてこの本はヒントの塊だ。簡単に気になる言葉をメモ書きすると、

・考えることは大きく、それ以外は小さく(44ページ)
・私がかかわったテクノロジー企業の象徴と呼んでいい会社では、すべての会議室に額縁入りの社訓が飾られていた。・・・中略・・・大企業的ふるまいと戦ってきたスティーヴならば、これらの社訓を嬉々として取り去り、代わりに、省察やインスピレーションの機会を与えてくれるアンセル・アダムスの風景写真を掛けただろう・・・ネクスト社のホールのように。(49ページ)
・プロジェクトの成果の質は、そこにかかわる人間の多さに反比例する(56ページ)

素晴らしい。そして極めつけは、

単純なことを単純な方法で解決することは誰だってできる。
ただし難しいことをシンプルに解決しようとなると、並大抵の努力では解決出来ない。
多くの企業が解決を諦め、複雑怪奇な製品・サービスを展開している中で、
なぜAppleがシンプルで高機能な製品をリリースし続けられるのか。

日本語に1語では翻訳できない「Simple」というワードの持つ効力を説いた本。
直訳でいう「単純さ」では言い切れない、Simpleの奥深さを様々なシチュエーションで
わかりやすく解説してくれています。

著者のケン・シーガルの人柄にも惚れます。
長きにわたって超一流のプロモーションに携わっていて、ジョブズに認められていた
人材ですが、内容はいたって謙虚そのもの。
主役は「シンプルさ」なので余計なことを書いて複雑にするのは意に反するようです。

シンプルなタイトル、シンプルな章、シンプルな言葉遣いの中にも広告マンらしい
ユーモアもあり、内容の興味深さと併せて一気読みしました。
解説にもありますがAppleの歴史としても興味深い内容となっています。

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