信長のシェフ2 Blu-ray BOX(仮) の感想

第一作が深夜枠にもかかわらず（逆に深夜枠だったから？）
毎回10％を超える視聴率をたたき出しており、期待されていた第二作。
残念ながら視聴率は10％を超えることはなく、打ち切りもささやかれた。

武田家に誘拐されたり、浅井家に埋服したり、織田家で過ごすことが少なかった。
また、他勢力からケンを目障りだとする描写が多かったのも第一作との大きな違いだろう。
ケンが自発的に動いたり、信長に意見するシーンもあり、
ケンの成長と見るのが正しいとは思うが、どうもしっくりこない。
原作を知らないのでなんとも言えないが、このあたりが大きなマイナスになっていると思う。

歴史好きからしても前作は終わったときに「続きが見たい！」と思ったが、
今回は「もういいかな」、というのが正直な感想。
武田どっぷりかと思わせて、長篠もないままにフェードアウト、
強烈なキャラの久秀もフェードアウト、徳川勢の部下が中根と数正だけというお粗末な編成、
最初からいるわりに影の薄い勝家など、さらにケンと夏ばかりが目立つようになった（楓シーンも増えた）。

良い点はケンが何をしようが、歴史が覆らないというところ。
ifの世界なら信玄や長政を助けたくなりそうだがその史実は曲げていなかった。
ケンが介入しても歴史が変わらない、即ち、史実にもケンがいたのではないかと匂わせる設定はワクワクする。

　タイムスリップした料理人がその腕をもってして料理を振るい、陰ながら歴史を動かしていくという設定は非常に良い。今回は第一次織田包囲網がメインストーリーとなっている。

　ネットの記事で目にしたのだが、時代劇離れ著しい昨今、なんとか視聴者にも観てもらおうと製作陣は衣装に相当な力を入れたらしい。私自身は鎧や着物の精巧さを見抜く目を持っていないので、それが本当に良いものだと残念ながら感じることは出来なかったが、それよりも気になったのが合戦最中の指揮官クラスの行動である。本来、大部隊を指揮するはずの指揮官が最前線で一兵卒に紛れて刀を振るっている（ここも、本来は刀より槍であるべきなのだろうが）。特に酷かったものが三方ヶ原での信玄だ。負け戦で追われているのならまだしも、鎧袖一触で徳川軍を屠った武田方総大将がろくに供回りも連れず追撃している。こういうシーンがチープさを出していることに製作陣は気付いてないのか、はなはだ不思議だ。
　
　設定が良いだけに、時代考証というか、軍事的常識の逸脱さが残念である。