MJ無線と実験 2014年 10月号 の感想

新・スピーカ技術の１００年という連載を読みたくて購入しました。歴史的記述や音を聴いた感想を遙かに超えた、しっかりとした技術的基礎に基づく記事は一読に値します。2014年07月号〜11月号には、長くNHKの標準モニタを納入し続けていた三菱電機のダイヤトーン・スピーカの歴史的名器について、システムの概要、性能と精度管理、使用環境等の詳細が設計図、測定データと写真付きで要をえた的確な解説がありました。この記事は筆者の佐伯多門氏の一方ならぬ技術的背景を基に、ダイヤトーン・スピーカに関する中枢であった三菱電機郡山製作所が残した資産を基に書かれたものであり、毎回参考文献が挙げられていることも歴史的価値を一段と高めています。三菱スピーカに関するシリーズ11回全般を見通し、その格調高い記事を掲載した本誌の編集方針に敬意を表したいと思います。そのほかの記事についても回路図、計測データ等が豊富で、よくある綺麗なカタログ用写真のような画像やオーディオ文学的な感想文が主体のオーディオ誌とは一線を画した充実ぶりです。