ラテン語の世界―ローマが残した無限の遺産 (中公新書) の感想

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参照データ

タイトルラテン語の世界―ローマが残した無限の遺産 (中公新書)
発売日販売日未定
製作者小林 標
販売元中央公論新社
JANコード9784121018335
カテゴリ »  » ジャンル別 » 社会・政治

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 「ラテンとは何だ?」にはじまり、その文法・歴史・文学などにふれながら、欧米諸語を中心に多大なる影響を与え、現代もなお生き続ける、そんな深遠なるラテン語の世界を楽しんで眺める一冊。
 対象となる読者は限定しません。例えば、ある程度の文法学習を進めたラテン語学習者が、合間に読むには絶好の良書です。けれども、ラテン語、ロマンス諸語、ひいては英語以外の印欧諸語を、ひとつも学んだことのない人は注意です。英語とは決定的に異なる文法構造が目白押し(もっともこれは、ラテン語がいわゆる「屈折語」の典型であることに因るのですが)、読み進めるのがたいへんであることを覚悟してください。

[参考]著者の小林標さんが挙げる参考文献のほかに、私の個人的なイチオシとして
◆『初級ラテン語入門』有田潤/白水社
 ラテン語に興味が湧いた方へ、初歩的な文法を概観するための学習書を。どうぞ心して、取り組んでください。
◆『英語の冒険』Melvyn_Bragg(メルヴィン・ブラッグ)/三川基好 訳/講談社学術文庫
 英語、とくにイギリスの歴史が好きな方へ、島国の一部地域で話されていた言葉が、世界言語となるに至る「冒険」の物語を。

 逸身喜一郎「ラテン語のはなし」は、私にとって、言語入門についてのイメージを一新してくれた本である。言語の解説本というと、従来は、殆どが自動的に学習書となってしまっていたが、逸身本はラテン語に関するエッセイ集といった趣で、ラテン語のに親しみが沸き、なんとなく「学習してみようかな」という気にさせられた本である(といいつつ学習してないけど)。本書、小林氏の「ラテン語の世界」も、「ラテン語」自体を言語として学ぶのではなく、「ラテン語について学ぶ」書籍である。逸身氏や小林氏のような、言語への興味を掻き立てる書籍は、どんな言語についても、まずあって欲しいものである。
 本書は、ラテン語の歴史、俗ラテン語、中世ラテン語の解説に加えて、もっとも非凡なところは、ラテン語が何故現代にいたるまで学術語などとして生き長らえているか、その「メカニズム」を、文法的観点や、文化的観点から詳述している点にあると言える。そうだったのか!と膝を打つ点た多々あった。ギリシア語からの単語の移入についての解説も、「それを知りたかったんだよ」と、痒いところに手が届く記述ぶり。英語には、同じ内容で、異なった言い回しがあるが、その原因が、ラテン語起源(フランス語経由)・ゲルマン語起源であることや、次々とカタカナなどで外来語を吸収する日本語・英語と、中国語・ラテン語の相違など、色々とトレビアに溢れている。
 サンスクリット語についても同様な書籍が出て欲しい強く思いました。

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