新しい「教育格差」 (講談社現代新書) の感想

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参照データ

タイトル新しい「教育格差」 (講談社現代新書)
発売日販売日未定
製作者増田 ユリヤ
販売元講談社
JANコード9784062879934
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 教育学 » 一般

購入者の感想

本文中で増田氏がおっしゃっていることは、はっきり言うとこれと言って新しいことはありません。しかし、「あとがき」は非常に印象に残ります。そこで増田氏は「女性への(つまり母親への)暗黙のプレッシャー」や「強迫観念による教育熱」について触れています。前者は、今の日本の社会風潮では、女性は何をやっても「足りない」と言われてしまうこと(要約すると:結婚しなければしろと言われ、結婚したらしたで子供はまだかと言われ、その後は出費が増えたので就労しようとすれば子供がいるにの働くのかと言われ、二人目はどうするのかと言われ、働かないで子育てに専念していれば呑気だと言われ、じゃあ働こうと思って求職すれば家族を養う役割の男性が優先的に仕事を紹介してもらうのは当然、というような風潮です。190ページ)、後者は、子供の教育を考える上で「〜ねばならない」という多大なプレッシャーがあることです(英語学習など 191ページ)。女性が、前者のような社会に対して「じゃあどうしろって言うのよ! あなたたちの言ってることはおかしい」と言いきれたり、周囲に理解者がいるとストレスにもなりませんが、前者のプレッシャーに負けると後者の「ねばならない」に拍車がかかり、いろいろなゆがみが生じると思います。そして、子供はそんな親を不可解に思ってしまうのではないかと思います。

この「あとがき」、が、あまりにも的を得た発言だったので、絶対に完璧では無いと思われる実際のフィンランド云々よりも、むしろ「日本が『造り上げている』フィンランド」などの切り口で、増田氏が思う所を議論してもいいのではと思いました。

学力世界一のフィンランドは教師の力量を養成するために「総合演習」を重視しているのに、日本の大学の教職課程では「総合演習」が必修からはずされた。学力向上に向けた取り組みにお金を使わず、武道場の建設に大金を投じる。こうした日本の教育の優先順位のおかしさを指摘し、「処方箋」は出ているのだから、あとは実行あるのみ、と「格差」解消の方向性を明らかにしている。学者にありがちな「上から目線」ではなく、現場を取材してきたジャーナリストならではの指摘は読ませる。

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