ヴェトナム新時代―「豊かさ」への模索 (岩波新書) の感想
参照データ
タイトル | ヴェトナム新時代―「豊かさ」への模索 (岩波新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 坪井 善明 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784004311454 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門 |
購入者の感想
ベトナムは近代化に向かって進んでいるが まだまだ先は遠いと思はれる。
ドイモイ路線以後、中国ほど近くもなく、インドほど存在感もないものの、ベトナムの重要性は年毎に強まっている。本書はそんなベトナムの今を、統治体制から経済状況、そして戦争の影まで含めて網羅的に語る良書だ。同国に興味があるという人には最適の入門書といえるだろう。
民主化と一党独裁、WTOと計画経済といった、社会主義国共通のジレンマは想像通り。だがベトナム戦争という内戦の分断が今に残るという話は意外だった。かつて南部を征服した北部は社会主義と言う価値観の中で支配者たりえたが、市場主義移行後は、アクセスに優れ、資本主義の蓄積が残る南部にイニシアチブが移り、格差が拡大し続けている。また日本との付き合いは古いものの、日本の画一的援助、そして最近の内向き傾向(『パラダイス鎖国』に詳しい)により、徐々に日本の存在感は低下しつつあるといった指摘には「ああベトナムでもか」と思わずため息が出てしまった。
民主化と一党独裁、WTOと計画経済といった、社会主義国共通のジレンマは想像通り。だがベトナム戦争という内戦の分断が今に残るという話は意外だった。かつて南部を征服した北部は社会主義と言う価値観の中で支配者たりえたが、市場主義移行後は、アクセスに優れ、資本主義の蓄積が残る南部にイニシアチブが移り、格差が拡大し続けている。また日本との付き合いは古いものの、日本の画一的援助、そして最近の内向き傾向(『パラダイス鎖国』に詳しい)により、徐々に日本の存在感は低下しつつあるといった指摘には「ああベトナムでもか」と思わずため息が出てしまった。