ベトナム経済の基礎知識 の感想

日越国交樹立40周年に華を添えるかのタイミングで出版されていた本書。過去、ベトナムは研究対象として、研究者・大学教授などによって数多く執筆されてきた。それが、今日ではジェトロのビジネス入門書（基礎知識シリーズ）として執筆されたのがなんとも感慨深い。研究でもODAでもない。ビジネスとしてである。それだけ日本企業からの注目が集まっているということなのだろう。

さて内容である。ビジネス入門書として読み始めたものの、その情報量と正確性はさすがジェトロ。マクロ経済動向と各産業動向の現状と課題がしっかりと整理されており大変わかりやすい。また、図ってか否か不明だが、各章の文量が適量で読みやすい。長すぎず、短すぎずといった具合。ただ、贅沢をいえば国有企業改革、不良債権問題などにもぐいぐい踏み込んだ内容も読んでみたかった。とはいえ、これだけ情報を網羅しているのは「あっぱれ！」の一言。ちょっと褒めすぎ感は否めないが、実際に読んでみるとその良さがわかる。なかなかこれだけのことを書くのは容易じゃないだろうと察する。（ベトキチ）