現代フィリピンを知るための61章【第2版】 (エリア・スタディーズ) の感想

フィリピンを知る多くの専門家集団による文筆。一つ一つの論述はしっかりしているのだが、この手の本によくあるように、各記述に統一性や一貫性が欠けているのが気になる。全体として何を述べようとしているのか、読み進むうちに疑問符が浮かんで来る点が、少々残念に感じられた。

フィリピンの実相を分かりやすくまとめている。
特段の知識がなくても、読む進めるうちにフィリピンンについて簡単に理解できる。

’V「政治を分解する」の29章から41章が極めて面白かった。
フィリピンの政治と言えば、
混乱とマルコス王朝しかイメージになかったが、
その背景がとても分かりやすく解説されている。
土地所有がこんなに大きな影響を与えるのだという、
フィリピンとは経済学の見本のような国である。

全体を通読しての感想は、
フィリピンという国家は、
国のアイデンティティーも含め、
植民地支配というか、ヨーロッパの大航海時代からの混乱によって、
とっても不安定なのだという驚きだ。
こういうコアの不在、不安定な国はアジアにはないのじゃないかと思う。