リンバロストの乙女 上 (河出文庫) の感想

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参照データ

タイトルリンバロストの乙女 上 (河出文庫)
発売日販売日未定
製作者ジーン ポーター
販売元河出書房新社
JANコード9784309463995
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学

購入者の感想

 NHKの連続ドラマ『花子とアン』の副産物でしょうか。村岡花子の訳業は『赤毛のアン』だけではありません。このジーン・ポーターの傑作も花子の一押しの「少女小説」「家庭小説」でした(元は秋元書房、その後角川文庫)。故・氷室冴子さんの名ブック・ガイド『マイ・ディア』(角川文庫、1990年。絶版。これも復刊希望)によると、氷室さんは「屈折した作家意識のない」教訓臭のないジーン・ポーターやエレナ・ポーターの作品が大好きで、なかでも『リンバロストの乙女』が最愛の作品でした。
 登場人物が大きく変化するきっかけが一匹の蛾であることもたびたびです。河出文庫版上巻表紙に描かれていますが、帝王蛾は沼地リンバロストの自然の美の典型です。作者ポーターには『リンバロストの蛾 Moths of the Limberlost』という専門書もあります(科学書だが英語は結構難しい)。といっても、『リンバロストの乙女』は蛾の本ではありません。上巻には学費を作るため、蛾の収集に励む自立した少女エルノラの姿が感動的に描かれています。
 エルノラ誕生の際の陣痛で沼で溺れた夫を救助できなかったことを悔やむ気難しい母親ケートの唯一の楽しみはマーク・トウェンを読むことと設定されています。トウェンの『赤毛布旅行記』は母親から「馬鹿げた大傑作」と評価されています。母親はなかなか娘を許す気持ちになれません。しかし、蛾が和解のきっかけを作ります。
 サイレント時代から何度か映画化されています。最新のものは1990年のTV映画化(105分)。1934年の二度目の映画化『A Girl of the Limberlost』(白黒トーキー作品、監督クリスティ・キャバーン、母親役ルイーズ・ドレッサー、エルノラ役マリアン・マーシュ)はDVDも出ていて(輸入盤。日本語字幕なし)、IMDbの評価も6.5と高く、76分で原作をよく活かした作りになっています。

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河出書房新社から発売されたジーン ポーターのリンバロストの乙女 上 (河出文庫)(JAN:9784309463995)の感想と評価
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