平凡 の感想

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参照データ

タイトル平凡
発売日販売日未定
製作者角田 光代
販売元新潮社
JANコード9784104346066
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » か行の著者

購入者の感想

レビューを書いてから、気付いたが、先達レビューと正反対のタイトルになっている。レビューは各人各様とはいえ、「平凡」という表題以前に「平凡」という言葉をどう認識しているのか、そしてその認識を自身の能力や人生に照らしてどう自己評価するのか、そうしたそもそもの立ち位置で本書の受け止めが大きく違うのだと思わされた。(それでも、敢えて言いたいのは、本書は「無事是名馬」的なそれこそ、凡庸な内容では絶対にないということ。そういう感想を持つためだけなら、本書を1600円(本体)払う必要はないだろう)

本書は、文芸誌で6年にわたり、年始号に掲載した6つの短編を収録している。
売れない作家の寄せ集めでもなく、人気作家の連載でもなく、明らかにテーマを持って年に一度だけ多忙な創作活動の中でキチンと描き続けたという点で、本短編集には著者らしさが色濃く凝縮されている。これだけでも、角田ファンには迷わず買いだろう。(「紙の月」がテレビドラマに続いて映画化という情報もあるが、本作も1作品を前篇後編にでもすれば、1クールをしっかり大人向きのドラマになるだろう。こう考えて、配役をイメージして読むのも楽しいと思う)

各編の共通点は、概ね30代の主人公の恋愛・結婚に関する内心を本人の目線で描いたものと云える。意外な面白さとして、6編中2編は、男性が主人公である。著者も女性・作品の主人公の大半が女性な中で男性である私が角田作品を読む上で、感情まできめ細かに理解できていないのでは?という忸怩たる内心について、男性を主人公にした作品を読み込むことで、相似というか類推というか、少なくとも本作での女性主人公の部分ではクリアーに読めたと思う。

作品としては、過去の角田作品の要素や展開が好きであれば、本作も楽しめるだろう。特段の予備知識も感情移入の特異性も不要なので、スラスラ読めるが、特に漠然と夫婦生活や独身生活を続けている方には、自分を省みる苦い味わいがあるのが、本書のタイトルに反しての非凡な点といえるだろう。

分かりやすさのため、各編の主人公とあらましを前半の3つについて紹介しておく。

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