憲法問題 (PHP新書) の感想
参照データ
タイトル | 憲法問題 (PHP新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 伊藤 真 |
販売元 | PHP研究所 |
JANコード | 9784569813318 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 法律 » 憲法 |
購入者の感想
著者は、天皇を戴く国家が先にあって、国家の構成員として国民がぶら下がり、国家が国民に人権を与えてあげるイメージを具現化した自民党改憲案を「奴隷の幸せ」とする。
それは『ベン=ハー』のような足を鎖でつないでガレー船を無理やり漕がせる時代の奴隷ではなく、『風と共に去りぬ』での厳しい労働に従事させられているものの、白人の家族と一緒に生活して、十分な食事と暖かい寝床があって、自由や名誉さえ我慢すればそれなりに満たされた生活ができる状態。
為政者は、自ら考え自立した個人の集団でなく、国家に従属する事が幸せだとの依存する人々が増えるに越したことはない。
為政者だけでなく、それを許容し、望む人々にも問題はあるとは、著者だけでなく、多くの知識人が指摘し続けていること。
それは、1994年 11月3日に読売新聞がその1面で発表した 「憲法改正試案」よりも前から発信されているが、戦後も軍事教練のような体育の授業を無批判に受けてきた世代に交代し、依存傾向は益々強まっている。
押し付け憲法について
日本側の草案は、1945年の幣原内閣で、商法学者の松本烝治憲法改正担当大臣が中心となって作成された、天皇主権で明治憲法のマイナーチェンジでしかない憲法草案(松本試案)であった。
しかし、この草案は内容が保守的にすぎるとしてGHQに否定され、マッカーサー草案が下地となり、日本国憲法が成立するに至った。
松本は1954年の自由党憲法調査会で、当時の状況を聞かれ、感情的になって「自分は押し付けられた」と発言。
それ以降「押しつけ憲法」の言葉が使われるようになった。
政府の改正案発表後の毎日新聞による有識者調査では、象徴天皇制に85%、戦争放棄条項に70%が賛成しており、新憲法によって旧体制から解放された国民感情であったと考えられる。
1945年8月14日のポツダム宣言受諾においても、日本は、国民の意思によって国の体制を決め、民主的な国にすると約束しており、新憲法はその履行で、正当性がある。
それは『ベン=ハー』のような足を鎖でつないでガレー船を無理やり漕がせる時代の奴隷ではなく、『風と共に去りぬ』での厳しい労働に従事させられているものの、白人の家族と一緒に生活して、十分な食事と暖かい寝床があって、自由や名誉さえ我慢すればそれなりに満たされた生活ができる状態。
為政者は、自ら考え自立した個人の集団でなく、国家に従属する事が幸せだとの依存する人々が増えるに越したことはない。
為政者だけでなく、それを許容し、望む人々にも問題はあるとは、著者だけでなく、多くの知識人が指摘し続けていること。
それは、1994年 11月3日に読売新聞がその1面で発表した 「憲法改正試案」よりも前から発信されているが、戦後も軍事教練のような体育の授業を無批判に受けてきた世代に交代し、依存傾向は益々強まっている。
押し付け憲法について
日本側の草案は、1945年の幣原内閣で、商法学者の松本烝治憲法改正担当大臣が中心となって作成された、天皇主権で明治憲法のマイナーチェンジでしかない憲法草案(松本試案)であった。
しかし、この草案は内容が保守的にすぎるとしてGHQに否定され、マッカーサー草案が下地となり、日本国憲法が成立するに至った。
松本は1954年の自由党憲法調査会で、当時の状況を聞かれ、感情的になって「自分は押し付けられた」と発言。
それ以降「押しつけ憲法」の言葉が使われるようになった。
政府の改正案発表後の毎日新聞による有識者調査では、象徴天皇制に85%、戦争放棄条項に70%が賛成しており、新憲法によって旧体制から解放された国民感情であったと考えられる。
1945年8月14日のポツダム宣言受諾においても、日本は、国民の意思によって国の体制を決め、民主的な国にすると約束しており、新憲法はその履行で、正当性がある。
わかりやすい言葉で現行憲法と自民党の改憲案を比較しながら、
どこがどのように問題であるのかを説明している。
これを読むと、自民党改憲案は、悪いところだらけのように思える。
盗人にも五分の魂、という言葉もあるので、その改憲案に賛成している
本も読んでみる必要もあるかも知れない。本書とて、改憲案の全ての
条文を引用して反対意見を述べているわけではない。
とは言え、著者の主張はもっともだと思えるところが多い。
「レファレンダム」と「プレビシット」という国民投票についての説明や、
国家緊急権の具体例、「押し付け憲法」論に関する検証、さらには
立憲主義の歴史など、通常の憲法の概説書ではあまり触れられて
いないことがらについての記述が、大変興味深かった。
どこがどのように問題であるのかを説明している。
これを読むと、自民党改憲案は、悪いところだらけのように思える。
盗人にも五分の魂、という言葉もあるので、その改憲案に賛成している
本も読んでみる必要もあるかも知れない。本書とて、改憲案の全ての
条文を引用して反対意見を述べているわけではない。
とは言え、著者の主張はもっともだと思えるところが多い。
「レファレンダム」と「プレビシット」という国民投票についての説明や、
国家緊急権の具体例、「押し付け憲法」論に関する検証、さらには
立憲主義の歴史など、通常の憲法の概説書ではあまり触れられて
いないことがらについての記述が、大変興味深かった。