これが現象学だ (講談社現代新書) の感想
参照データ
タイトル | これが現象学だ (講談社現代新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 谷 徹 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784061496354 |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 論理学・現象学 |
購入者の感想
大部の研究書も出されていて定評のある谷先生だけに,非常にわかりやすかったです.現象学的還元についても,具体例を交えながら明瞭に解説されているように思いました.特に,他の本ではそれほど触れられていない,フッサールの論理・数学の哲学についてある程度解説してある点は貴重だと思いました.(一つ気になる点としては「形式主義=数学は単なる意味を持たない記号のゲーム」となっており,いわゆる現代の数学の哲学における形式主義,すなわちヒルベルトによる形式主義について全く触れられていない点です.現象学の本なので,重要ではないかもしれませんが,気になったので指摘させていただきました.)又,具体例が非常に豊富なことも理解のし易さを助けているのだと思います.個人的には,具体例の殆どが物理的な対象であったのですが,こうしたフッサールの認識論的枠組みを数学的対象や論理的対象といった,時間・空間を超えている(ように思える)対象に関して応用した場合にはどれほどの可能性を秘めているのか,という点についてもっと書いてあるとさらによかったと思います.何故なら,物理的対象に関する知識・認識の枠組みと,数学的・論理的対象に関する知識・認識の枠組みは,(少なくとも分析哲学では)同じものであり得るのか,という問題があるからです.