抗がん剤 10の「やめどき」~あなたの治療、延命ですか? 縮命ですか? (あなたの治療、延命ですか?縮命ですか?) の感想

以前僻地医療に携わり胃瘻患者さんをたくさん「造り」、そして「看取って」きました。その後、東京へ戻り、一般的な内科医として働いている間に長尾先生の書籍に出会い、ずっと疑問に感じていた過剰医療に対して、自分の中でひとつの決着がつきました。私の感じていること、書きたかったことは胃瘻に関してほとんど同一の感想でした。
そのうち、東京に戻ってからは私も癌患者さんを多く担当する立場となりました。癌に対する考え方はまたそれぞれ違うものの、彼の著書はニュートラルで患者目線。今では患者さんに「うちに病院の考えとは違うかもしれません。私の考えとも少し違うかもしれませんが、偏った本が多い中、抗がん剤治療を勧められたときに初めに読む本としては最も適切です。」と言って、患者さんにお貸ししています。まだ医者７年目の若輩ものですが、私からもおすすめの一冊です。

抗がん剤は医者に薦められてしまうと、何も考えずに始めてしまうなあ。

続けるべきかどうかは、副作用が出てからです。

あれこれ悩んでしまうのは、情報をたくさん探し始めてからかな。

スキルス胃癌で、胃の全摘出手術を受けた私の場合は、著者の言う３番目の体重が１５％以上減った時点で抗がん剤を中止しました。

ＴＳ−１ともう１種類同時に始めたら、一気に体重が減りました。

全く飲み食いが出来ない。

自分の唾液を飲み込んだだけで吐き気が襲ってくる。

一日中気持ちが悪いこと意外は、何も考えることが出来ませんでした。

ある意味手術よりも抗がん剤の方がつらいです。

術後は痛み止めを打ってもらって、睡眠導入材も打って、ひたすら眠っていた。

でも抗がん剤は吐き気で眠れない。

術後の痛いときでも、物事を考えることは出来ます。

抗がん剤は思考することも出来ませんでした。

１６３cm、５２ｋｇだったのが、抗がん剤を飲み始めて３週間で４１ｋｇに激減しました。

２０％も体重が減ってフラフラのガリガリです。

脱水症状を起こしそうになって、何回か点滴を受けました。

ここまでくると、主治医も抗がん剤が体質的に合わないみたいだねと言って、治療を中止しようと言ってくれました。

私ももうこれ以上抗がん剤治療を続けたら、癌ではなくて抗がん剤で死んでしまうなあと思っていたので、そのままやめてもらいました。

あれから４年、幸いなことに再発や転移も起きずに生活できています。

体重が戻るのに３年もかかりましたが、術前の体重に戻っています。

このまま後１年経てば、一応治ったということが出来ます。

この本のようにずっと抗がん剤治療を続けていたらどうなったろうなあとも思います。