戦場の掟 の感想

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参照データ

タイトル戦場の掟
発売日販売日未定
製作者スティーヴ・ファイナル
販売元講談社
JANコード9784062148658
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 軍事 » 軍事入門

購入者の感想

傭兵稼業。確かに金は儲かるようだ(ディスカウント価格で月給約70万円)。
交戦規定に縛られないかわりに、ジュネーブ条約もない。
よって最後は「棺は絶対に開けられません」という姿で帰国した青年を中心に話は進む。

リー ヴァン アースデイルという、元陸軍特殊部隊オペレーターの名前が出てくる。
Mogadishuの戦いを描いた映画の特典映像に、彼が顔出しで出演している。

安保法案にまつわるニュースが多いので、そのからみで視点をかえてPMC(Private Military Company 民間軍事会社)のことを読んでみようと思った。本書はイラクで活動するPMCに迫ったルポで、同国に展開するアメリカ軍をはじめとする多国籍軍との関係なども分かる。

その中で驚くのは、PMCが正規軍の警護もしているということだ。一体どういうことだと思ったが、本書を読んでみるとギスギスした現実が見えてくる。正規軍に被害者が出ると正式な数字として発表されるが、PMCの被害者は表に出にくい。イラクでPMCのアメリカ人が何人も殺されるような戦闘が繰り広げられていても、アメリカ本土の人たちはそのことを知らず、「米軍の被害がこれくらいで済んでいるのだから、きっとイラクでの活動はうまくいっているのだろう」と思う。政府は正規軍に被害が出ると困るから、PMCに多額の金を出して警護させるのだ。

正規軍の給与が月額日本円で30万円くらいなのに対し、PMCの傭兵の給与は70万円から80万円以上。そんな大金を国家が負担して雇っているのだから、このねじれた構造には皮肉な笑いさえ漏れてしまう。ちなみに、PMCの傭兵の給与は当初は月額数百万円だったようだが、しばらくすると戦争に参加したい民間人(退役軍人含む)は無尽蔵にいることが分かり値下がりしていったそうだ。今や、各企業としても傭兵より装甲車両のほうが遙かに高価で失うと痛いという様相である。

日本が、理由はどうあれ自衛隊を海外展開する場合にも、このPMCにはかなり依存すること必至である。安保法案に賛成の人も反対の人も、知っておいて損はない事実と現実が書いてある。

イラクで兵士を護り、物資を護り、金を護る傭兵。決して表には出ることがなく、死者の統計にも入らない過酷な傭兵稼業。ブラックウォーター、ダインコー、トリプル・キャノピー、クレセントと言う数多の民間警備会社。戦争によって発生する莫大な利益に群がる無法者(傭兵)達が跳梁し、イラクを蹂躙していく。傭兵(=民間警備会社)は必要悪として、法律の届かない世界でやりたい放題。しかし、誰もそれを止められない。彼らがいなければ、フラペチーノ1杯手に入らない米軍。その矛盾を抉ったドキュメンタリー。ある傭兵に密着取材を行った力作。イラクの恐ろしい別の側面が見えてくる。

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