陰獣 (江戸川乱歩文庫) の感想
参照データ
タイトル | 陰獣 (江戸川乱歩文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 江戸川 乱歩 |
販売元 | 春陽堂書店 |
JANコード | 9784394301011 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 |
購入者の感想
数ある乱歩の文庫本の中で、春陽堂のものが一番紙質が薄く、従って黄ばみやすいものであります。また注書き、挿絵、解説もない。その分、乱歩の世界に文字面だけから入っていけるものです。あたかも昭和初期に戻ったような感じもしないでもありません。編集となると作品の発表順序を無視し編集方針も不明でありますが、とにかく理屈ぬきで乱歩世界に入れるようにできています。第一巻は「陰獣」という、エロスと論理とが錯綜した物語に「踊る一寸法師」などE・A・ポーの作風に近いようなものもあり、初めて乱歩を読むという方、すでに読んだけれどまた読み返したいという方におすすめであります。「陰獣」は読むほどに作者・探偵・犯人がもつれ合って。いつ入れ替わっていてもおかしくない世界。思春期、思秋期の読者に特にお勧めしたい次第であります。