ふくしまノート(1) (SUKUPARA SELECTION) の感想

写真は逃げられない残酷さがあり、文章はニュアンスの伝わりにくさがある。
映画は、長いストーリー性がないと製作できない。ＴＶは消え去ってしまうし、深刻さを緩めながら、リアルな悲しい現実を伝える事は難しいし、真実をリアルさに近づけた時、衝撃度が強すぎる。

今回、この本を読んで、様々な表現方法の中で、「マンガ」という表現手段の可能性を感じた。
もし、ここで伝えている内容を他の表現手段にしたら、長い前置きや、冗長な解説が必要になったり、ショックを表すのに、刺激性の強い表現を使わなければいけなくなったりしただろう。

怒りも含め、悲しみも、憤りもありのままを表現しながら、絶望的ではない。
色々な人々の奮闘が伝わる。
作者のキャラクターや作風に寄る部分も大きいだろうが、皆が、避けて通りそうなこのテーマに、あえて、手を伸べた作者に敬意を表したい。

こういった本が、福島の人々の本当の気持ちを、伝えるきっかけになると良いと思う。