中陰の花 (文春文庫) の感想
参照データ
タイトル | 中陰の花 (文春文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 玄侑 宗久 |
販売元 | 文藝春秋 |
JANコード | 9784167692018 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » 文学・評論 |
購入者の感想
僧侶と言えば、日常的に様々な人の死に対峙しているわけで、ある意味、死者との関わり方に関しては
「プロフェショナル」である。職業人としては当然のことであり、主人公(=著者)の僧侶は、
禅宗の教義のみならず、インターネット検索はあたりまえ、素粒子物理学などについても聞きかじって
いるという21世紀的な人物の描き方が新鮮だ。
しかし、話が、自分の妻のややおかしな言動、それが失った水子に関係していると判明すると、僧侶の
理性や哲学的な判断は、大きく揺らいでくる。
「他者の死」ではなく、自分たち夫妻がかかわった死(水子)となると、話は別だ。
おがみやのウメさんたちのエピソードは本質でないような気がする。
僧侶作家として有名な方は、瀬戸内寂聴や今東光などがいるが、それらの作家たちとはまったく異質の
作風である。最先端科学や超常現象までもかすめとった上で、ほのぼの感も漂う稀有な作品となった。
人の死に立ち会った機会の少ない若者層には、さほど作品にリアリティが感じられないかもしれない。
(かくいう私は還暦を越え、結婚式よりも葬式にでることのほうが増えてきました)
「プロフェショナル」である。職業人としては当然のことであり、主人公(=著者)の僧侶は、
禅宗の教義のみならず、インターネット検索はあたりまえ、素粒子物理学などについても聞きかじって
いるという21世紀的な人物の描き方が新鮮だ。
しかし、話が、自分の妻のややおかしな言動、それが失った水子に関係していると判明すると、僧侶の
理性や哲学的な判断は、大きく揺らいでくる。
「他者の死」ではなく、自分たち夫妻がかかわった死(水子)となると、話は別だ。
おがみやのウメさんたちのエピソードは本質でないような気がする。
僧侶作家として有名な方は、瀬戸内寂聴や今東光などがいるが、それらの作家たちとはまったく異質の
作風である。最先端科学や超常現象までもかすめとった上で、ほのぼの感も漂う稀有な作品となった。
人の死に立ち会った機会の少ない若者層には、さほど作品にリアリティが感じられないかもしれない。
(かくいう私は還暦を越え、結婚式よりも葬式にでることのほうが増えてきました)