群衆心理 (講談社学術文庫) の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル群衆心理 (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
製作者ギュスターヴ・ル・ボン
販売元講談社
JANコード9784061590922
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 古典

購入者の感想

群集心理学の祖であるルボンは、フランス革命後のヨーロッパで、君主の発言や政治的伝統の実質的意義がますます低下し、非理性的で破壊的な群衆の勢力が優勢になってしまったことに恐怖をおぼえました。しかしルボンがこの大きな問題を解決するために案出した方法は、群衆そのものを変革することではなく、群衆を統治する指導者に対して、どうすれば群衆に暗示をかけ、その心理を操作することができるかを教えることでした。群衆を操作する手段としてルボンは断言・反復・感染の三つを挙げました。もし指導者が十分な威厳と手腕を備えているならば、群衆は彼のもとに従い、問題などまったく発生しないだろうというのがルボンの主張でした。
けれどもルボンは、指導者による群衆の操作方法に関しては正確な分析をしたものの、その指導者が分別をわきまえた偉大な人物であるとはかぎらず、無能だったりただのデマゴーグにすぎなかったりするかもしれないという重大な危険性に関しては何にも考えていなかったのです。そのためにヒトラー、ムッソリーニという大犯罪者によって、ルボンによる群衆の操作方法が実践に移される結果になってしまったのでした。
(というか実は老年のルボンはムッソリーニのファシズムに心酔しきっており、彼自身が野蛮な群衆の一員になってしまっていた。しかもこの本の内容自体かなり反復が多く、露骨な人種差別論さえ展開してくるので、すべてを鵜呑みにしないよう警戒しながら読むことが必要)

群衆がどのように考え動くのかを扱った社会心理学の古典。
しかし今読んでも決して色あせていない。

群衆の非論理性、熱狂し冷めやすい性質、暴力性。
そうした群衆は選挙でも町でも議会でもどこでも見られる。
群衆は今日の社会のいたるところに存在している。

そして指導者は群衆をいかに扱うか。
有名な「断言・反覆・感染」こそが群集を動かす。(+威厳も)
群衆は正しい論理では決して説得されない。

人種とか遺伝とかが出てきていささか古臭く感じるところもあるが、群集の性質は昔も今も変わっていない。
今日の大衆社会において必読ではなかろうか。

裁判員制度が始まる前に読めてよかった。そこで今後起こるであろう事が19世紀末にすでにまとめられていたことに驚きました。
目次から内容を思い出せるようになっているのがいい。後半に陪審員制度・選挙・議会・犯罪についてそれぞれ書かれているが、人間性は洋の東西そして時代を問わないことが分かった。
小泉政治の特徴だといわれたワンワードポリティクスの有効性や先日のアメリカ議会での銀行救済案に絡む政治的問題が1世紀前に説明されていたのにはびっくりした。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

群衆心理 (講談社学術文庫)

アマゾンで購入する
講談社から発売されたギュスターヴ・ル・ボンの群衆心理 (講談社学術文庫)(JAN:9784061590922)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.