許されざる者〈上〉 (集英社文庫) の感想
参照データ
タイトル | 許されざる者〈上〉 (集英社文庫) |
発売日 | 2012-08-21 |
製作者 | 辻原 登 |
販売元 | 集英社 |
JANコード | 9784087468700 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 文学・評論 » 歴史・時代小説 |
購入者の感想
日露戦争を背景に明治後期に生きる日本人を描いたボリューム感たっぷりの大作である。主人公の医師「ドクトル槇」は大逆事件で処刑された大石誠之助がモデルとなっており、幸徳秋水など実在の人物も多数登場するが、本書はあくまでフィクションであり歴史的事実とは異なる展開となっていく。
著者がNHKの週間ブックレビューに登場した際に、「トルストイの戦争と平和のような戦争を背景とした作品を書きたいと思っていた」という趣旨の発言があったと記憶しているが、読んでみるとその通りで、多数の登場人物が日露戦争に関わり、運命が変転していく様が描かれている。(蛇足だが、主人公の美貌の姪の千春のキャラクタは、戦争と平和のヒロインのナターシャを思わせる気がするのは私だけでしょうか)
読み始めた時には上下で800ページを超えるボリュームに圧倒され、またテーマが重そうなので最後までたどり着けるか危惧したが、登場人物が魅力的で、ドクトル槇と永野夫人の恋愛模様などストーリー自体も抜群に面白いし、更に明治時代の世相や当時のイベントも非常に興味深いので、読み応えはありましたが、一気に読み終えることができた。著者の作品を読むのは短編集の「枯葉の中の青い炎」、長編の「ジャスミン」に続いて3作目ですが、本書は過去読んだ2作を上回る傑作だと思います。
著者がNHKの週間ブックレビューに登場した際に、「トルストイの戦争と平和のような戦争を背景とした作品を書きたいと思っていた」という趣旨の発言があったと記憶しているが、読んでみるとその通りで、多数の登場人物が日露戦争に関わり、運命が変転していく様が描かれている。(蛇足だが、主人公の美貌の姪の千春のキャラクタは、戦争と平和のヒロインのナターシャを思わせる気がするのは私だけでしょうか)
読み始めた時には上下で800ページを超えるボリュームに圧倒され、またテーマが重そうなので最後までたどり着けるか危惧したが、登場人物が魅力的で、ドクトル槇と永野夫人の恋愛模様などストーリー自体も抜群に面白いし、更に明治時代の世相や当時のイベントも非常に興味深いので、読み応えはありましたが、一気に読み終えることができた。著者の作品を読むのは短編集の「枯葉の中の青い炎」、長編の「ジャスミン」に続いて3作目ですが、本書は過去読んだ2作を上回る傑作だと思います。