宝石色の恋 西UKO作品集 の感想

この西UKOさんの前作「コレクターズ」が良かったので、今回も期待を込めてamazonで予約注文してみました。発売日と同時に届いてくれてありがたかったです。

「コレクターズ」と同じく838円＋税という価格に正直最初引きましたが、前作に続く小谷津早希さんの装丁が可愛く綺麗で、手に持った感じもしっくりとくるので「これはいい本だ!」という直感が後押しをしてくれました。

社会人ガールズラブ、という言葉は帯にも使われておらず、私もそういった言葉でくくってしまうのもどうかと思っていましたが、作者さんは大人と大人の色気ある艶っぽい恋がお好きなんだろうと読後に思いました。
でもね、世の百合作品によく見られる女子高生の初々しさとは違うかもですが、この人の大人って、きちんと可愛いんです。ハッピーエンドばかりではないけれど、そういった作品は実に格好いいんですよね。
惜しむらくはどれも短い。
長い恋の一瞬を切り取っただけの作品もあるから、短いことは構いません。でも私はこの人の長編ものを読んでみたい、そんな興味も持ちました(プリンセスGOLDで不定期連載もされているようですが)。

お気に入りを選べと言われたら困ってしまうくらいどれも良いけれど、「777」「baby you」「アップ&ダウン」「helter-skelter」とか、ズギュンと来たお気に入りです。「the OL café」は同人誌が初出だそうですが、ものすごく考えられ作りこまれていて、これを面白いと言わずに何を面白いというのだ、という思いです。でも収録にあたって「もう売り切ったものだからご容赦ください」とかどこかで書かれていて、ああ、多分この作者は同人作品は商業ベースで見せることを良しとしない人なんだろうなと思うと、どれだけ隠れた傑作をお持ちなのか、寂しい気持ちで一杯だよ。

それからやはりこの人の絵は巧い。リアル感半端ない。作りがCGぽいけれど(実際PCをお使いなのだろうけれど)、よくまあここまで手を抜かずに描き込むものだと。それていて画面がちっともうるさくない、綺麗。