スカーフェイス [Blu-ray] の感想

ゴッドファーザーシリーズを始めとしてセント・オブ・ウーマン、カリートの道、ネタばれラストシーンが残念なヒート等、アウトロー関連のアル出演作品はほぼ鑑賞していますが、本作『スカーフェイス』も80年代のアルを語る上で見逃せない作品であると思います。
唯一思うのは、この映画のテーマが何であるのかという所です。
監督はカリートの道、アンタッチャブルのブライアン・デ・パルマであるが故ギャングベースのストーリー構成はしょうがないとはいえ、最後ソーサに背後から撃たれて自滅していくまでの展開がいまいち掴めません。
『The World is Yours（世界はあなたのもの）』と書かれたシーンの強調から推物主義、自由経済への批判と受け取ることもできますが、それだけではいまいちしっくりこない感じです。
ただ、僕のように面倒なことを考えず、単に映画を楽しむだけでも充分な見応えはあるので、時間のある方はご賞味ください。おすすめです。
若き日のミシェル・ファイファー観てるだけでも癒されるかもw

パルマ＆パチーノのバイオレンス傑作。

まず、パチーノの演技。
早口にまくしたてるイライラした男。
どこまでも深い欲望。
「これは素の演技なのではないか？」と思わせるほどに、ある意味リラックスして演じている。
じっと相手を覗き見る表情や、正に人生のハイライトを謳歌する開放感あふれる表情、
そして、視線がせわしなくさまよういらだちの表情など、完全にトニーモンタナになりきっている。

すばらしい。

しかし、パチーノのそういった演技やラストの銃撃戦などが評価の対象となっているようだが、
この映画が私を引きつけているのは「暗黒社会の住人になりきれなかったトニーモンタナ」にある。

この男、貧しい移民でありながら限りない欲望を抑えきれず、その素性のために暗黒社会にしか
道を見出せなかったのだ。
学も地位も無い彼がのし上がるためにはこれしかなかったのだ。

これは悲しい物語なんだと思う。

彼が最終的に身を滅ぼすきっかけとなる事件がある。
完全な「暗黒社会の住人」であれば、きっと難なく遂行できる仕事なのだろうが、
彼は激しく拒絶してしまう。
ここにトニーモンタナの全てを語る要素があると思う。
派手なシーンではないが、とても大事な場面。見逃してはいけない。

素晴らしいの一語につきる。