【ビジュアル解説】交渉学入門 の感想

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タイトル【ビジュアル解説】交渉学入門
発売日販売日未定
製作者一色 正彦
販売元日本経済新聞出版社
JANコード9784532490645
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » ビジネス実用 » ビジネス交渉・心理学

購入者の感想

 本書は、交渉学、というよりは交渉術として実践の用に供するのが主な目的になっている。特に、企業同士の交渉に役立つ思考法、行動法について実例を多く挙げながら解説している。
 
 構成としては、交渉にまつわる三つの誤解を挙げてそれを反駁し、次に交渉の成否に関わる三つの原則を上げた後、その原則を一つ一つ詳述する、といったものになっている。図表を多く使い、それぞれの章の各項ごとに交渉状の専門用語や交渉戦術についてのコラムもあり、全体的にコンパクトにまとめられている。

 特に印象に残ったのは、前もって準備する際のデータ収集と分析あるいはKJ法、「アジェンダ・コントロール」による交渉のマネジメントのプロセスと、「クリエイティヴ・オプション」を提案することでwin-win関係を構築する際のアイディア出しなど。一粒300メートル的に試せるものが幾つかあった。

 また、ここで書かれている目線から日々の自分や他人の振る舞いを見ていると、交渉は人の本性の一つなのだと思えてくる。社会学や人類学の著作も、交渉という側面で見ると共通した知見が貫かれていることが分かるし、例えばマスメディアの報道も読み手・聞き手への交渉として考えることが出来る。アジェンダ・セッティング、アジェンダ・コントロールというのは6カ国協議などの外交から町内会の寄り合いまで様々なレヴェルで大事になってくるのではないか。

 ただ、本書で取り扱われているのが、交渉当事者の立場が比較的拮抗している場合にのみ効果的な戦術であることが気になる。交渉当事者の立場が大きく異なる場合、たとえば大企業の経営者と派遣労働者の間には交渉力において全く等価ではない現実があり、そんな時には本書の知見は役に立たないかもしれない。しかし、交渉が是非とも必要な状況というのはかえって当事者間の地位の格差が大きい時なのではないか。そんな意味で限界も見えるが、基本的に交渉についての技術を知ることが出来る好著だと思う。

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