地域ブランドを引き出す力―トータルマネジメントが田舎を変える！― の感想

たまたま漁業研究者で「日本の魚は大丈夫か」の著者である勝川俊雄氏がFacebookで本書を推奨されていたので知ったが、なかなか面白い。
特に個人的に関心があったのは、東京練馬の体験農園の話だ。比較的長期間の契約で、素人に農業の基礎から教えてもらえるとあって、相応の費用がかかるにも関わらず非常に好評で、都心に近いところでは希望者の競争倍率が19倍、期限後の更新率も90％なのだという。
しかも、農園主側と関係なくいくつもの「オフ会」がいくつも発生し、「海外農業研修ツアー」まで行っているチームもあるのだという。
自分も田舎の実家は元々農家であり、もしかすると農地を承継する可能性もある。同じような境遇の方は少なからずいらっしゃるのではないだろうか？だからこそ、こういったサービスが人気を博するのだろう。
この他にも、ありとあらゆる地域農林業振興についての上からのお仕着せでない事例が、ふんだんに載っている。
ここに載っている事例を真似したからといって上手く行くわけではないが、このようないじくり回し（"Tinkering"）の努力によって日本の農林業の新しい地平線が開かれるのだろう。