アルプスを越えろ! 激走100マイル―― 世界一過酷なトレイルラン の感想
参照データ
タイトル | アルプスを越えろ! 激走100マイル―― 世界一過酷なトレイルラン |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 鏑木 毅 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784103337416 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » ノンフィクション |
購入者の感想
陸上競技「トレイルランニング」の国内第一人者、鏑木毅氏の自伝。ザ・ノース・フェイスとスポンサー契約を結んでおり、ポスターや雑誌などで見かけることも多い。
トレイルランニング、略称トレランとは野山を走るマラソンといったところだ。自分も数年前から山登りをはじめたおかげで、この競技の存在は知っていた。
一度だけ、山中で練習中のランナーを見かけたことがあるが、歩くだけでも大変な山道を風のように駆ける姿、そしてすれ違いざまの爽やかな挨拶に、ただただ羨望の眼差しを送るしかなかった。
鏑木氏は名門早稲田大学陸上部出身との事で、さぞ輝かしい競技人生を送った後に、トレラン界へ華麗なる転身というパターンかと思っていた。
しかし実際には二浪を経ての一般入学、高校時代に発症した腰痛との闘いなど、相当なご苦労があったようだ。
トレラン選手として活躍する今も、糖質より体脂肪を先に燃焼させるための食事制限など、とても我々一般人には真似のできないストイックな生活を送っている。
本書には鏑木氏が出場した世界最高峰レース、「ウルトラトレイル・デュ・モンブラン(UTMB)」の様子が紹介されている。コースはフランスのシャモニーをスタート後、イタリアとスイスを巡ってフランスに戻るという、信じられないほど過酷な全長160kmの山岳地帯だ。
狡猾なライバルとの駆け引き、悲鳴を上げるアキレス腱、胸筋の疲労による呼吸困難、薄れてゆく意識の中で思い出す保育園の帰り道・・・・・・何度も何度も自分を鼓舞しながら走り続け、スタートからほぼ丸一日後に迎える人生最良の日。
スリリングなレース展開の描写に、一瞬ランナーに併走しているような錯覚を覚えた。こんなにも過酷な状況は、どんなに優れた作家でも伝えるのが困難だろうと思う。実際にこのレースを走った鏑木氏にしか表現できない世界なのだ。
あのとき山道ですれ違ったランナーも、いつか同じ感動を味わうのだろうか。子供の頃から持久力に自信のない自分には、まったく別世界のお話だ。でも、これ以上ない苦しみの後に味わう最良の瞬間を、読書という形で共感させてくれたこの一冊に感謝である。
トレイルランニング、略称トレランとは野山を走るマラソンといったところだ。自分も数年前から山登りをはじめたおかげで、この競技の存在は知っていた。
一度だけ、山中で練習中のランナーを見かけたことがあるが、歩くだけでも大変な山道を風のように駆ける姿、そしてすれ違いざまの爽やかな挨拶に、ただただ羨望の眼差しを送るしかなかった。
鏑木氏は名門早稲田大学陸上部出身との事で、さぞ輝かしい競技人生を送った後に、トレラン界へ華麗なる転身というパターンかと思っていた。
しかし実際には二浪を経ての一般入学、高校時代に発症した腰痛との闘いなど、相当なご苦労があったようだ。
トレラン選手として活躍する今も、糖質より体脂肪を先に燃焼させるための食事制限など、とても我々一般人には真似のできないストイックな生活を送っている。
本書には鏑木氏が出場した世界最高峰レース、「ウルトラトレイル・デュ・モンブラン(UTMB)」の様子が紹介されている。コースはフランスのシャモニーをスタート後、イタリアとスイスを巡ってフランスに戻るという、信じられないほど過酷な全長160kmの山岳地帯だ。
狡猾なライバルとの駆け引き、悲鳴を上げるアキレス腱、胸筋の疲労による呼吸困難、薄れてゆく意識の中で思い出す保育園の帰り道・・・・・・何度も何度も自分を鼓舞しながら走り続け、スタートからほぼ丸一日後に迎える人生最良の日。
スリリングなレース展開の描写に、一瞬ランナーに併走しているような錯覚を覚えた。こんなにも過酷な状況は、どんなに優れた作家でも伝えるのが困難だろうと思う。実際にこのレースを走った鏑木氏にしか表現できない世界なのだ。
あのとき山道ですれ違ったランナーも、いつか同じ感動を味わうのだろうか。子供の頃から持久力に自信のない自分には、まったく別世界のお話だ。でも、これ以上ない苦しみの後に味わう最良の瞬間を、読書という形で共感させてくれたこの一冊に感謝である。