のぼうの城 下 (小学館文庫) の感想

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参照データ

タイトルのぼうの城 下 (小学館文庫)
発売日2010-10-06
製作者和田 竜
販売元小学館
JANコード9784094085525
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 歴史・時代小説

購入者の感想

歴史の表舞台に立つ事のなかった、坂東無者の物語。

戦国時代の傑物、秀吉が関東平定に乗り出す。
その方法は正に天下人の戦。圧倒的な戦力でもって、関東周辺の城を黙らせていきます。
腹心石田光成も、天下人の戦を武蔵の国の小さな城に仕掛けます。
がしかし、お世辞にも立派な将とは思えない ”でく”のぼう様 が
この大軍の攻めを退けていく物語です。

至る所で、”坂東武者”という言葉で、のぼう軍、忍城の武士たちを表現しています。
この坂東武者とは、鎌倉時代前まで遡る古い言葉で、
当時から、戦が激しく繰り返された関東出身、武者の勇猛ぶりを示すものらしいのですが、
秀吉後に訪れる泰平の世を思うと、最後の大立ち回りとなる、
彼らの奮闘ぶりに、ノスタルジーを感じてしまいます。
物語と、現代の情報(忍城の跡地、石田光成の水攻めの堤防跡)を
織り交ぜつつストーリーが進むので、より切なさを盛り上げます。

また、歴史小説では、限られた史料からキャラクタを作り上げるのでしょうが、
各将の戦にかける想い、領民とのやり取りにそれぞれの違いを出させており、
非常に分かりやすいようになっていました。そういった意味で映画化にも納得です。

ただ残念なのが、戦のシーンが2回しかなく、
また、三成側軍勢に愚将が多すぎて、張り合いがないように感じました。
戦のダイナミックさに欠けるのは仕方ないにしろ、
もう少し面白みがないと、戦国小説としては物足りないかもしれません。

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