第一次世界大戦 (ちくま新書) の感想

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参照データ

タイトル第一次世界大戦 (ちくま新書)
発売日販売日未定
製作者木村 靖二
販売元筑摩書房
JANコード9784480067869
カテゴリジャンル別 » 歴史・地理 » 世界史 » 一般

購入者の感想

 本書は、近年の研究を踏まえ、戦史を辿りつつ、第一次世界大戦史研究が現在どのような段階に達しているかを示し、それによって大戦像がどのように変わってきたかを明らかにしようとするものである。

 序章「第一次世界大戦史をめぐって」
 第1章「1914年――大戦の始まり」
 第2章「物量戦への移行と防御の優位」
 第3章「戦争目的の重層化と総力戦体制の成立」
 第4章「大戦終結を目指して」

1) 本書は、従来の軍事史のように、もっぱら前線・戦場での動向に焦点を当てるものでも、あるいは従来の歴史研究のように、前線の状況とは切り離して銃後の世界や政治変動を説明するものではない。前線と銃後の距離感の差、両者の交流の密度の差、本国の地政学的位置などによって各国の戦争体験に違いが生じるという観点から、前線と銃後との単純な区分を批判しつつ、前線や兵士の状況について多くの注意を向けている点が新しい。
2) そして本書は第一次世界大戦の歴史的位置として、1国際関係のヨーロッパ中心主義的世界から多元的世界への転換、2国際社会の構成単位の帝国から国民国家への移行、3総力戦体制による国民国家の民主化・福祉国家化を指摘する。
3) 上記の点は、大枠では間違っていないものの、いくつかの保留が必要であろう。そしてそれは、本書が依拠する「短い20世紀論」に対する批判と共通する。すなわち、ヨーロッパ中心主義と国民国家史観である。なるほど確かに第一次世界大戦によってヨーロッパの地位は低下したが、国際連盟規約で日本が提起した人種平等条項は否決され、国際連盟は欧米の国際機構であった。民族自決原則はヨーロッパに限られ、イギリスとフランスの植民地帝国は絶頂に達していた。また、第一次世界大戦はナショナリズムを高揚させ、総力戦体制は社会保障制度の発達を促し、「国民」意識は浸透していったが、優生学の普及によりその要件は制限されていた。本書において、第一次世界大戦における植民地の役割や植民地兵に関する言及はあるものの、かなり限定的である。
4)

何故この戦争が起こったか?というよりは、起こってからの戦争の推移に焦点が当てられています。
戦争による数百万人規模の死亡、植民地からの動員、輸入ルートの途絶のよる食糧不足と配給に開始、
増税や借金に国民生活の圧迫等。
前線の話はもちろん、銃後の国民生活の話が詳細に記載されていました。
昔習った世界史の授業では感じなかったある種の
「悲惨さ」とか、「無益さ」を覚えました。

また、戦争と戦後の国際政治の変化が分かりました。
ロシア、オーストリア、ドイツの帝政崩壊や、
西欧列強中心の列強外交から平等外交の変化、
国民国家の成立等。

西欧列強が中心の戦争なので、日本にはややなじみが薄いですが、国際的にいえば、
第2次世界大戦よりも影響力が強い出来事だったのではないでしょうか。

ページ数も約200ページとすんなり読める程度です。
概要を知るにはちょうど良い本です。

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