鬼の研究 (ちくま文庫) の感想

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参照データ

タイトル鬼の研究 (ちくま文庫)
発売日販売日未定
製作者馬場 あき子
販売元筑摩書房
JANコード9784480022752
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » 昔話・伝承

購入者の感想

著者様が「鬼」に関するあれこれを集めた研究録になっています。 個人的によかったなと思ったのは、「本成」、「中成」、「半成」といった違いを、代表的な作品例を挙げて説明していたところ。 ここら辺は知らなかったので解説がありがたかったです。 ただ古歌やその他のお話紹介でそれここで取り上げる必要あるのかな? と思う例もあります。 私は思考が単純な方なので、へーそうなのかーと思いながら読みましたが、ある程度古典に親しみがあり有名どころを読んでいる方からすると微妙かもしれません。 近藤喜博さんの「日本の鬼」と合わせて読むのも悪くないと思います。

 歌人でもある著者が、鬼に感情移入して始まった研究なので、文章は情感たっぷりで、冷静な文体とはいえないと思った。
 それでも、なお、古代から近世まで、「鬼」を網羅し、一冊まるごと「鬼」で埋っている事例豊富な本として、入手する価値はあった。
 文体は、読んでいくとすぐに気にならなくなった。読了する頃には、この達者な文章がむしろ心地よくなっていた。
 文学や絵画に描かれた鬼を研究対象としているので、鬼そのものの研究というよりも、鬼を描いた人間・鬼を伝えた人間に、むしろ関心のウエイトがあると感じた。
 鬼物語が最も多く語られたのは、平安時代だという。大和朝廷に従わなかった「山の民」「棄民」と、その末裔の存在が、「山で集団生活する鬼たち」の伝説の背景に読み取られる。また一方で、政治的な思惑のうずまく王朝の中で、何が「鬼」と呼ばれたか。伊勢物語にある『それをかく鬼とはいふなりけり』とは、いったい何を見たのか。「天狗」にも一章が割かれている。
 中世に多くの名曲がつくられた能楽の「般若」面などをつける「女の鬼」への考察もたっぷりある。
 日本人は、さまざまなものを「鬼」というひとくくりの名で呼んできた。その内実がこの本で明らかにされる。著者のように、芸術的衝動と共に「鬼」に惹かれるのは、「鬼」の一面を見ているからにすぎない。ほかの残虐な「鬼」もあり、その、著者の理解からは離れるのかもしれない「鬼」のことも、この本はちゃんと含み、記述している。

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