流転の海 第1部 (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | 流転の海 第1部 (新潮文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 宮本 輝 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101307503 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 |
購入者の感想
戦後焼け跡の闇市を舞台に物語は始まる。時代の雰囲気が見事に描かれ、この時代に培われた男達の生きざまが浮かび上がる。随分昔に2部まで読んだ事があったが、再度最新刊まで読もうと購入した。以前読んだ時には読み取れなかった熊吾の老年に差し掛かって、思いがけず子供を授かり人生の終盤この子の成長のために生きてみようという覚悟が理解出来た。
この我儘で理不尽、暴力的でありながら純真で利他の精神を持ち合わせる優しい男。なんと魅力的な男である事か・・その男が子を得て全ての富、力をなげうっても育てあげようとする父としての激しい愛。
また母の房江も今ならDV被害者として警察沙汰になるような修羅場を乗り越え、子を得ることによって強く逞しくなっていく。伸仁が死ぬかも知れない時「あんたがなんぼ怒鳴っても、伸仁の熱が下がるわけやあらへん」と怒鳴り返した場面は思わず、よう言うた。と心の中で拍手した。
これで終わりではなく続きが楽しめるのは幸せだと感じさせてくれる面白さ。
この我儘で理不尽、暴力的でありながら純真で利他の精神を持ち合わせる優しい男。なんと魅力的な男である事か・・その男が子を得て全ての富、力をなげうっても育てあげようとする父としての激しい愛。
また母の房江も今ならDV被害者として警察沙汰になるような修羅場を乗り越え、子を得ることによって強く逞しくなっていく。伸仁が死ぬかも知れない時「あんたがなんぼ怒鳴っても、伸仁の熱が下がるわけやあらへん」と怒鳴り返した場面は思わず、よう言うた。と心の中で拍手した。
これで終わりではなく続きが楽しめるのは幸せだと感じさせてくれる面白さ。