流転の海 第5部 花の回廊 (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | 流転の海 第5部 花の回廊 (新潮文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 宮本 輝 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101307541 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 |
購入者の感想
熊吾は事業に失敗し、苦境に陥り、家族はバラバラに暮らす事になる。息子の伸仁は叔母一家と蘭月ビルに暮らす事に。蘭月ビルはまるでエッシャーのだまし絵の回廊のごとく、その構造も人間模様も複雑で不思議だ。伸仁は親元から離れ母房江がその後ろ姿にふと老成を感じるほどに精神を鍛えられていく。やがて、水道も電気もない浄正橋のビルで熊吾と房江は一緒に暮らすようになる。その暮らしの中でも熊吾も房江も卑屈にならず、お互いを思いやる気持ちも誇りも捨ない。
熊吾は還暦を前にして家族のために戦う気概を持ち続けており、房江も夫を信じ支える気持ちを失わない。自分の子供の頃の両親を思い出して懐かしい気持ちで一杯になった。
第一部から随分時間がたったようで、作中のいくつかのエピソードもこなれてきた感あり。光江の咳のエピソードでは涙が出た。思わず笑ってしまうユーモラスな場面も増えた。この物語に巡り合えて良かった。
熊吾は還暦を前にして家族のために戦う気概を持ち続けており、房江も夫を信じ支える気持ちを失わない。自分の子供の頃の両親を思い出して懐かしい気持ちで一杯になった。
第一部から随分時間がたったようで、作中のいくつかのエピソードもこなれてきた感あり。光江の咳のエピソードでは涙が出た。思わず笑ってしまうユーモラスな場面も増えた。この物語に巡り合えて良かった。