ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書) の感想

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参照データ

タイトルケーキの切れない非行少年たち (新潮新書)
発売日販売日未定
製作者宮口 幸治
販売元新潮社
JANコード9784106108204
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 心理学 » 心理学入門

購入者の感想

一言で言えばレビュータイトルのように評するしかない。

著者は医療少年院に勤務経験がある児童精神科医。
職務を通して、非行少年の多くが知的障害にかろうじて含まれない「境界知能」の少年であり、「反省」→「更生」のステップを踏む以前に「反省」の意味すら認知できないことに気づいた。

彼らは知能や認知能力が低いがゆえに、他者と上手くやっていけず学校や社会から落ちこぼれるが故に非行に走ると考察したのだ。
その視点から、そのような子供の存在を早い段階で汲み上げ、普通教育以外の特別プログラムを練習させることで学校や社会生活で困らない程度のソーシャルスキルを身に付けさせるというメソッドの普及に尽力している。

成る程、非行の実情は確かにそうなのだろう。
だが、この本は内容のバランスが悪すぎて著者の意図と異なる読み方をされるだろう。

タイトルに代表されるように「いかに非行少年たちの知的能力が低いか」の例を第1章から第6章まで延々と並べている。
中には前頭葉に腫瘍があるため衝動を止められず大量殺人を犯したアメリカ人青年の例すら挙げている。
それなのに、最後の第7章で初めて自身が考案し普及させようとしている認知機能トレーニングが紹介されているだけである。

これでは読者が「ソーシャルスキルを身に付けさせることが非行の抑止につながる」との著者の考えに賛同する前に「やっぱり非行に走るのは知能が低いからだ」と考えてしまうに違いない。

最近売れている「残念な動物」シリーズに乗っかったようなセンセーショナルなタイトルも出版社の思惑なのだろうか。
その意義は高いはずなのに、本末転倒な構成が残念である。

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