京都を知る100章 (別冊太陽スペシャル) の感想

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参照データ

タイトル京都を知る100章 (別冊太陽スペシャル)
発売日2016-11-21
販売元平凡社
JANコード9784582945768
カテゴリ » ジャンル別 » 旅行ガイド・マップ » 国内旅行

購入者の感想

別冊太陽はこれまで多くの事象を取り上げて良質の出版を果たしてきた企画ですが、この『京都を知る100章 (別冊太陽スペシャル)』の出版の狙いがよく分かりませんでした。

京都の何かにテーマを絞るわけでもないので、何を知りたくて本書を読むのかという点で戸惑いがありました。ガイドブックではありませんし、京都の歴史や伝統を取り上げていましたが、体系的でも網羅的でもありません。やはり、これだけ多くの「京都本」が出版されているわけですから、差別化を図る意味でも一定のテーマ設定は必要ではないでしょうか。

ただし、掲載写真は美しく、撮影者も中田昭さん、澁谷征司さんなどの美しい写真で彩られています。各章にあたるエッセイも、京都の優れた書き手が得意分野を綴られていました。

高名な歴史学者の村井康彦さんの冒頭の「羅城門のこと」は、A4の1ページの分量の中に、深い見識が綴られていました。村井さんは、ほかにも「秦氏と太秦」「上賀茂神社・下鴨神社」などについても寄稿されていますし、林屋辰三郎さんの過去の著作『京都(岩波新書)』から「六道さん」が紹介されていました。いずれも参考になる記述です。歴史家の確かな説明は読ませますし、間違いがなく安心です。

名文家として名高い杉本秀太郎さんの『洛中生息』(みすず書房刊)から引用された文章に惹きこまれました。鬼籍に入られていますので、新しい文章は無理ならぬことではありますが、12「東寺」の文章などは、見事な味わいが伝わってくるもので、視点の斬新さと奥深さ、温かさが感じられました。京都に関するプロの書き手という雰囲気が文の随所に漂っていました。お嬢さんの杉本歌子さんや杉本節子さんも、別の項目でそれぞれ文章を寄せられています。
京都に関する優れたエッセイ集としての役割は果たしていますので、「千年の都」の魅力の一端は、掲載の文章から感じられました。

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