自伝 若き日の狂詩曲 (中公文庫) の感想

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参照データ

タイトル自伝 若き日の狂詩曲 (中公文庫)
発売日2016-01-21
製作者山田 耕筰
販売元中央公論新社
JANコード9784122062184
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 作曲家山田耕筰の自伝。山田ははるばるドイツの王立音楽院まで受験会場に来たものの、周りは正装をした白人だけ。王立音楽院は、ドイツの中にある音楽学校でも最難関レベルである。山田は試験前にトイレにこもり、このまま帰ってしまおうかとすら考える(p148-149)。結果発表の日、山田は自分が受かっているわけがないと思っていた。掲示板に、受験者47人中3つにだけアンダーラインが引いてあって、そこの自分の名前が含まれていた。山田は不合格だと思って帰って大使館に出向くと、武者小路公共書記官(武者小路実篤の兄)に合格だったことを教えられる(p152-153)。また、山田は王立音楽院入学後も、ドイツ人教授に奇異の目で見られることが多かった。シュミット教授は、「日本人が、我々の音楽をこうもよく唱えようとは……」と驚いた(p185)。しかし、ドイツ音楽は、フランス人など別の外国人も唱えるのに、そういう言われ方をしたのが気になった、と山田が言っていて面白かった(p同上)。シュミットに悪気はないのだが、人種への偏見である。
 ところで、これは自伝全般に言えることだが、作者は全ての思い出を自伝に書くわけではない。自分にとって都合の悪いことは書かないことが多い。例えばこの本の解説で井上さつきは、山田は下宿先のドイツ人娘テアと婚約するが、その別離は何も語らない(p356)と指摘する。また、山田には長く愛人がおり、妻と離婚して愛人と結婚したが、こういう話を読むには山田ではない他人が書いた伝記などが必要になる。寺崎浩の『からたちの花 小説・山田耕筰』は女関係も詳しいようだが、アマゾンでは取り扱いがなく手に入りづらい。

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