実験計画と分散分析のはなし―効率よい計画とデータ解析のコツ の感想

分散分析の入門書としてはこれが最適であろうと思います。
段階的に難しくなるように書かれており、
通読すれば基礎の基礎は理解できるはずです。

問題点は、分散分析にとって重要な
自由度の説明が分かりづらいこと、
直交表の割り付けの具体的な方法が書かれていないことです。

つまり、実務的ではないため
この一冊を読んだだけでは現場で
分散分析を使えるようにはなりません。

それでも★4つをつけるのは、
タグチメソッドや重回帰分析のような
実践的な方法を学ぶための土台づくりは
この一冊で十分だと判断できるからです。

数学は中学レベルで十分です。
本書を手に取るような人であれば
間違いなく理解できるはずです。
そのレベルでこれだけの本を書いてしまうところが
著者の大村氏のすごいところである、
といつも感心してしまいます。

ぜひお試しあれ。

「実験計画法」は、多くの要因の効果を少ない実験数で評価出来る方法で、
要因を上手く実験に割り当てる「直交表」と、結果が意味を持つかどうかを評価する「分散分析」との、二つから成る。
自分も開発業務の中で使うことがある手法だが、体系的に初学者に分かりやすく書かれた本がほとんど無いと思う。
特に、直交表は実験計画法の目玉的な部分であり、どの本にも書かれているが、
両輪となる分散分析については、計算手順の羅列で、一体自分は何を計算しているのか、
イメージを持てないまま計算手順に従うことになりやすい。
やっとこの本の紹介になるが、、、
この本は、その分散分析を、分かりやすく、なぜその計算をするのか、イメージを持てるように説明している。
他の本には無い点で、この本を貴重なものにしている。
もし自分が後輩に実験計画法(分散分析)を教えるとしたら、この本を土台にするか、この本を読めと言って手渡すだろう。
実際に実験計画法を使う場合は、他の入門書も必要になる。
実験計画法の入門としては「よくわかる実験計画法」、
タグチメソッド(=実験計画法+SN比)をとりあえず使いたい場合は「Excelでできるタグチメソッド解析法入門」、
実験計画法からタグチメソッドまでを体系的にとらえるには「品質を獲得する技術」、がおすすめ。