産廃コネクション―産廃Gメンが告発!不法投棄ビジネスの真相 の感想

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千葉県庁職員として産廃行政を担当した著者が，不法投棄の流れの実際を記している．著者に依れば，不法投棄を撲滅する上でポイントになるのは，中間処理施設の増設とリサイクル制度の更なる整備だという．
本書で最も優れている部分は描写の具体性である．何トンのダンプ一杯分の産業廃棄物が何万円で取引されているとか，不法投棄現場でダンプの車輪の下に敷くために使用される鉄板のリース料に，不法投棄業者が月にいくら支払っているだとか，描写が実に細かい．さすがは不法投棄の現場を歩いてきただけのことはある（こういったことは学者には中々書けない．実務家の強みが上手く活かされている）．
また，本文には，業界独特の隠語や特殊な用語が登場するが，その点については頻繁に注が付されているし，図版も豊富に挿入されるなど，読者の理解を助けている工夫も大いになされている．
最終章では不法投棄を撲滅する方策について示唆されている．当面はフットワークの軽い地方自治体による独自の対応を尊重しながらも，最終的には国が政策のグランドデザインを描くことの重要性を著者は訴える．
本書は日経新聞・週間文春・朝日新聞の書評で絶賛されたそうだが，なるほど，それに値する内容だった．お勧め．