Estwing E30 ロックピックハンマー レザーグリップ 【並行輸入品】 の感想

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私はエストウイングのハンマーが嫌いだった、化石採集者が持つハンマーは皆これ一択。

皆同じ、おそろいという日本人が好きそうな思考を全く理解できず、寒気が走る奇特な性格の為、あえてエストウイングは使用しなかった。

通常の日本製ハンマーを改造し化石採集専用のハンマーを作って産地で使用していたが、あるとき落とし物のエストウイングと、北の大地で出会ったのだ。

そのハンマーは私が帰る道すがら落とし主と出会ったので、返した。凄い喜んでいた、苦楽を共にする事20年以上だそうだ。

十数年以上化石採集や鉱物採集の過酷な使用条件に耐える堅牢さ、アイデア次第でいくらでも新たな使用方法がある形状、しかしそんなものはどうでも良いのだ。

私は落とし主に返すとき、自分の無駄な意地と無能さに心底嫌気がさしていた。

私は振ってしまったのだ、エストウイングのハンマーを。

手に持ったスカフィテスの入ったノジュールをトリミングするため試しに使ってみようと・・・

一振り、たった一回叩いただけで全てを理解した。今まで何万回もハンマーを振ってきた私にはわかった。

エストウイングのハンマーの利点、それは堅牢さでも見た目のデザインでも使い勝手でも無かったのだ。

バランスが全てであった、使用していて疲れないのだ、石を持っている左手が先に悲鳴を上げる。

一日で沢や未開の原野、ヒグマひしめく森を20キロ以上歩いて目当ての逸品を探す過酷な巡検において最も重要なのは体力の温存だ。

バランスが良いハンマーは使用を続けていてもあまり体力を奪わない。余った体力で巨大なアンモナイトも背負える訳だ。

このハンマーが万能とは言わない、得意不得意あるだろう。私は結局エストウイングハンマーを研究して一から完全自作のハンマーを作ってしまったが、バランスだけはエストウイングのようにはならなかった。

以前土牛のピックハンマーのレビューも書いたが何年経とうと、エストウイングのバランスナンバー1は揺るがないだろう。