夜の大捜査線 [Blu-ray] の感想

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参照データ

タイトル夜の大捜査線 [Blu-ray]
発売日2014-02-05
監督ノーマン・ジュイソン
出演シドニー・ポワチエ
販売元20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
JANコード4988142979322
カテゴリジャンル別 » 外国映画 » アクション » 犯罪・ギャング

購入者の感想

初めて白人とアフリカ系黒人がW主演した作品で、1960-70年代に米国で起こった有色人種の差別解消、平等権獲得を図った公民権運動の終盤にあたる1967年に公開され、アカデミー賞では作品、主演男優(ロッド・スタイガー)、脚色、音響、編集の5部門受賞を受賞した。
ストーリーを書けば、米南部の片田舎を舞台にした管轄外の黒人刑事と白人地元警察署長の二人による殺人事件捜査で、特別なアクションやサスペンスも無い平凡な人間ドラマの色合いな作品に過ぎない。
なので本作を語る為にはどうしても時代背景の考察が欠かせない。
この映画の前後、レストランや図書館から白人専用席が消え、白人生徒しか居ない公立高校に黒人9人が兵士に守られて入学し、恣意的に危険な命令を行われ易かった「黒人部隊」がベトナム戦争で初めて無くなり、逆に黒人士官が生まれた。バラク・オバマ大統領を知る世代には隔世の観があるが、人種差別が法律上の平等から社会的な平等への段階に移る黎明期だった。
黒人刑事が白人署長と共演し、しかも粗野な地元警察より黒人刑事の方が開明的で有能かつ高給取りと言う設定だけでかなり冒険的だった筈だ。
集団リンチや不当逮捕等、差別意識が強く残る南部ミシシッピ州で、白人署長は徐々に人種偏見を改めて行くし、黒人刑事も白人の大物地主容疑者への感情的な捜査を自ら戒めていく。傍目には単純で些末な捜査に見えて、その繊細な心情変化を映した脚本と遠近自在のカメラワーク、そして二人の対極的な演技に心打たれる。
バージル刑事を主演したシドニー・ポアチエは元々が公民権運動の闘士であり、映画界の人種差別解消への貢献により2002年にアカデミー名誉賞を受賞した。音楽はクインシー・ジョーンズが参画、主題歌はレイ・チャールズが起用され、ソウルフルな演出に寄与している。
特筆すべきは、やはりロッド・スタイガーの荒くれ署長の記憶に残る実に素晴らしい演技だ。終始ガムを噛んで部下や市民に暴言を撒き散らしながらも、閉鎖的な地元民からの非難に耐え、不測の暴発からバージルを守り続ける。アドリブで撮った二人だけの深夜の会話は、バージルを認め始めた自身の気持ちに戸惑う姿がとても印象的で、駅で握手で別れるラストシーンと並ぶ名シーンだろう。

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