三菱重工の正体―国策防衛企業 の感想

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参照データ

タイトル三菱重工の正体―国策防衛企業
発売日販売日未定
販売元金曜日
JANコード9784906605385
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 軍事 » 軍事入門

購入者の感想

 三菱自動車の燃費数値改竄が大きな問題になっているので、気になって関連書を数冊読んだ者です。こちらと併せて別冊宝島の日本軍需産業特集号も読みましたら、三菱重工は兵器開発国内トップであり、自衛隊の防衛装備などで防衛庁との取引を一手に引き受けており、ゆえに天下り、談合の温床となりがちとのこと。本書とその『別冊宝島 知られざる自衛隊と軍事ビジネス』とでは、書いてある内容が同じでも立場・語り口が正反対なので受ける印象が全く違いました。一方は「兵器産業では儲からない、国内でも兵器を製造できるノウハウと企業規模を持つ会社は限られている。三菱さんには長年の付き合いから利益が薄いにもかかわらず、製造してもらっている」と書いてあり、一方では「企業利益全体からみれば三菱の兵器製造は大した割合でないが国相手の商売は競争相手もなく確実であり、三菱幹部は兵器で儲けたいから『北朝鮮にはもう少し頑張ってもらわなくては』という冗談まで飛び出す」とあります。
 三菱は言わずもがな、幕末~明治期に岩崎弥太郎が創始した元・大財閥。姻戚関係の構築を含め国の権力者と密接な関係を築き、戦争特需で大きくなってきた過去を持つ会社で、長年「お上」相手に商売をしてきたゆえに他の民間企業よりも市場での競争意識が薄く、購買者への配慮を欠くきらいがあるといわれる企業体質だとのことです。わたしも詳しいことは知らなかったのですが、三菱重工業、三菱商事、三菱自動車工業、東京三菱UFJ銀行と様々な業種があり、ミサイルや戦車、戦艦、衛星、自動車、家電から文房具まで製造しています。『下町ロケット』『空飛ぶタイヤ』などの中小会社ものエンタメ小説の雄・池井戸潤さんは元東京三菱銀行の銀行員でらした作家さんですが、これら代表作はどちらも実際の三菱グループの宇宙開発事業(佃社長という名前の宇宙事業に意欲的だった社長さんが三菱に実在)や不良タイヤによる事故がモデルになっているんだな・・と本書を読んで理解しました。製品の質低下は、長年国相手の協奏のない商売をしてきたことやピラミッド型の組織ゆえに現場の意見が上まであがりにくくチェック機能がうまく機能しない企業体質があるとか。現場で製品の危険を訴えてきた社員さんや技術者さんもおられたでしょうし、そういう方々は今回の事態が悔しくてならないでしょう。

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