虐殺のスイッチ 一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか (出版芸術ライブラリー) の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル虐殺のスイッチ 一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか (出版芸術ライブラリー)
発売日2018-10-03
製作者森 達也
販売元出版芸術社
JANコード9784882935117
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

軽い気持ちで手にした、220ページほどの『虐殺のスイッチ――一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?』(森達也著、出版芸術社)だが、読み進めるうちに恐るべき本だと気づき、心が震えた。

ミルグラム実験――。「アイヒマン裁判から2年が過ぎた1963年、アメリカのイェール大学で教鞭をとりながら心理学を研究していたスタンレー・ミルグラムは、ある心理実験を行った。参加者たち(一般市民)は、渡された設問を別室の(イェール大)学生に伝え、もしも学生が間違った回答をした場合には電気ショックを与えることを命じられた。学生は椅子に拘束されている。その電極に繋がるレバーを押す参加者の部屋にはスピーカーが設置されていて、学生の苦痛を訴える声が聞こえるようになっていた。ただし、実際には電気は流れていない。学生の苦痛は演技なのだ。苦悶の声は事前に録音されていた。つまり、社会心理学的なドッキリ実験だ。ミルグラムも含めて実験前の研究者たちは、大半の参加者は途中で実験を放棄するだろうと予想していた」。

「ところが、結果は誰も予想しないものとなった。学生の『死んでしまう』とか『やめてください』などの悲鳴や絶叫を聞きながら、参加した他のメンバーたちはきちんと任務をこなしていると説明を受けていた市民たちは、横に座る教授という『権威』に促されるままにレバーを押し続け、最終的には参加者40人中25人(61.5%)が、最大の電圧である450ボルト(心臓が停止する可能性がある数値で、そのことは事前に説明されていた)まで電圧を上げ続けた。この心理実験は、ナチスによるホロコーストのメカニズムを検証する実験でもあった。だからミルグラム実験という呼称以外に、アドルフ・アイヒマンの名を取って『アイヒマン・テスト』と呼ばれることもある」。この実験結果は、ごく普通の人も、一定の環境に置かれたとき、明らかに人を殺める可能性があると推定される指示にさえ、簡単に従ってしまう傾向があることを示している。「その際のキーワードは、決して洗脳やマインドコントロールなど仰々しい語彙ではなく、権威からの指示と、集団における同調圧力だ。環境や因子さえ整えならば、誰もがナチス兵士や親衛隊員になりうるのだ」。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

虐殺のスイッチ 一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか (出版芸術ライブラリー)

アマゾンで購入する
出版芸術社から発売された森 達也の虐殺のスイッチ 一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか (出版芸術ライブラリー)(JAN:9784882935117)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.