日本史上最高の英雄 大久保利通 の感想

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参照データ

タイトル日本史上最高の英雄 大久保利通
発売日販売日未定
製作者倉山 満
販売元徳間書店
JANコード9784198646875
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

私は鹿児島県出身で名前も「大久保」ですが(同じ血筋かどうか分かりませんが)私は著者が利通を「日本最高の英雄」と評価するのは褒め過ぎだと思う。西郷や他の士族と一緒に討幕を企て、明治維新に至った事は評価する。その後大久保は岩倉使節団のメンバーとして西欧諸国を廻り、帰国後は西欧諸国に負けまいと、富国強兵、殖産興業等々を実行する。その前に、徳川時代の旧体制を変えるべく、「版籍奉還」や「廃藩置県」をやり、幕藩体制を一掃する。ここまでは合格点をつけられる。問題は明治7年~10年の4年間に起こった内乱(佐賀の乱から始まり西南戦争に至る内乱)はなぜ起こったのかの分析もせず全て鎮圧したが、反乱の原因を分析していなかったので、結果として翌年の明治11年には暴徒に暗殺されてしまう。彼のやり方はあまりにも中央集権的であり、江戸時代に各藩がやっていた仕事を全て取り上げ、旧武士がやる仕事がなくなってしまった事が、旧武士の反乱原因だという事を理解していなかった。西南戦争が起きた時に、福沢諭吉はこの事をよく理解していたために『丁丑公論』で西郷隆盛の行動を弁護している。さらに、西南戦争が終わった段階(明治10年10月)で『分権論』を出版し、中央政府がやるべき仕事と地方の役人がやるべき仕事を分別する事を訴えている。若しも大久保が中央政府のやる仕事と地方武士がやる仕事を理解し、中央集権と地方分権に分けて、日本の進むべき指針を実行していたら、一連の地方武士による反乱は起きなかったであろうし、大久保自身も暗殺されなかったであろう。そうすれば「明治14年の政変」での主役は、間違いなく大久保利通で、その後の歴史(明治・大正・昭和)は変わっていたかもしれない。

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