ケガレ (講談社学術文庫) の感想

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参照データ

タイトルケガレ (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
製作者波平 恵美子
販売元講談社
JANコード9784062919579
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » 文化人類学一般

購入者の感想

著者らしい「断定的ではない」ケガレの諸相であろうか?

真面目な学者であることは、本書の記述方法にもよく読み取れるのだが…

言わんとする自説は序文によくまとめられている。
「ケガレ」をケガレ観念の内容としてではなく、「分析概念」として持い、
ケガレが弁別・分類の指標として日本文化の中で、生活の隅々まで浸透していた
ことから、ケガレを「有効な差異化の指標」とする論はなかなか興味深い。
逆に言うと「著者の論説」が序文でしか、明らかとなっていないのが問題である。

内容は面白く、「ケガレ」と「ハレ」を「ケ」の対極にある概念として同一のものとして
把握すること(結構この手の学者は多い)への、著者独自の批判。
ややもすれば、「日常」と「非日常」とで分類し、その「非日常」の一部として
「ハレ」と「ケガレ」を同一視する民俗学者が多いが、著者は明確にそれを否定する。

「ケガレ」の状態から「ケ」へと移項するその方法と、「ハレ」から「ケ」へと
移項する方法が異なることを、フィールドワークから実際の集落の習慣を観察し
「ハレ」と「ケガレ」のあり方が違うことを指摘している。
むろん、「ケ」から「ケガレ」あるいは「ハレ」へと移項するその方法も異なる。
この点では極めて読み応えがある。

しかし、その分析概念である「ケガレ」が著者がいみじくも言うように「ほとんど消失した」
とするが、その原因は何であるかが全く不明のまま。
重要で有効な道具として「分析概念としてのケガレ」があったはずが、「消失した」ことこそ
追究すべきであるのに、その点が不十分すぎる。
これではこの著作が「ケガレが『分析概念』であったこと」のみを示したに過ぎないのか?
という疑問が残る。

この著作で「ケガレ観念批判」をする著作の意味は一体何か?
「批判するための本」ならばここまで丁寧に解説することもあるまいに。

「農村」と「漁村」では、その「ケガレを除去する意識」と「ハレを望む意識」の差が

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