食の実験場アメリカ-ファーストフード帝国のゆくえ (中公新書) の感想

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参照データ

タイトル食の実験場アメリカ-ファーストフード帝国のゆくえ (中公新書)
発売日販売日未定
製作者鈴木 透
販売元中央公論新社
JANコード9784121025401
カテゴリ »  » ジャンル別 » 歴史・地理

購入者の感想

これほど面白いアメリカ関連本はないのではないか、というほどの一冊。
食を通してみるとアメリカという国と歴史をさらに理解出来る。

ポップコーンはインディアン由来、バーベキューは黒人奴隷がインディアンから教わって生まれ、フライドチキンは黒人奴隷のスパイスを使った味付けと白人貧困層の揚げる手法の融合で生まれた。このように意外にも、アメリカを代表する食べ物は「非西洋の遺産」ともいえる。

世界史を学んだ方は、ボストン茶会事件はご存知だろうが、今日のアメリカでは、旧イギリス領であるが例外的に紅茶を飲む習慣がなく、リーフから淹れることがないため、高級レストランでもティーバッグが出てくるそうだ。

いまや世界的飲料であるコカコーラが拡まったのには、禁酒運動の高まりが起因しているようだ。競合のペプシ社の社名は、消化を助けるイメージとして胃の酵素ペプシンに由来するといい、当時の清涼飲料は薬でありアルコールの代用品の存在であったらしい。
また市民に浸透した背景には、アメリカはドラッグストアという薬と食品両方を扱う店舗が存在し、薬品と食品の境目が明瞭でなかった点があったというが、いまや我が国も至る所に同様のドラッグストアが林立している状況である。

最も興味深く読んだのは、ファーストフードについて書かれている箇所である。ファーストフードとは「収益を最大化しながら同時に消費者を密かに飼いならすという、経営者にとっては夢のような」ビジネスモデルだ。その筆頭マクドナルドは、アメリカ人の8人に1人が、生涯のうち1回は働いたことになるというから驚きのデータだ。なぜファーストフードが急成長を果たせたのかは、レーガノミックス以降の経済的変化で、「没落する中産階級や増大する貧困層という潜在的顧客が増加したところへ、より低コストを実現できる移民労働力が供給される事態が重なった」ことによるという。

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