象徴天皇という物語 (岩波現代文庫) の感想

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参照データ

タイトル象徴天皇という物語 (岩波現代文庫)
発売日販売日未定
製作者赤坂 憲雄
販売元岩波書店
JANコード9784006004040
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

象徴天皇という制度はどのように考えられるのか。国民統合の象徴とは何か。これから行われようとしている令和天皇の即位にかかわる数々の儀式が注目されることもありたいへん興味深いところである。
また、即位儀礼の「大嘗祭・新嘗祭」について柳田国男や折口信夫はどう解釈したのだろう。
本著『象徴天皇という物語』は、おもに「世界」「思想の科学」「神奈川大学評論」「仏教」などを初出誌としているが、大幅に改稿と補筆をほどこしこの本のために書き下ろした数章を加えて1990年ちくまライブラリーの一冊として刊行された。
その後、ちくま学芸文庫に収録されたのち「象徴天皇をめぐる祭祀のゆくえ」という論考を書き下ろし、それを「補章」として加えてこのたび岩波現代文庫から刊行されたものとある。
また、これまで象徴天皇について真正面から論じられることもなく、象徴の概念についてさえ曖昧にしたまま問われることのなかったこの制度に民俗学と歴史学の両視点で検証する渾身の一冊といえるだろう。したがって、著者としてはこれが実質的な「定本・象徴天皇という物語」になるとしている。

著者は名著『東西/南北考いくつもの日本へ』(岩波新書)において、縄文以来の民族史的景観に対して、「ひとつの日本」というフィルターを自明としてかぶせてゆく歴史認識の作法に異をとなえ、柳田民俗学を相対的に捉えかえす新しい民俗学の発展に一石を投じた。
それにしても著者の柳田民俗学を相対的に捉えかえす眼差しには、その穏やかに見える風貌からは想像もできない程きわめて厳しい側面がある。
だが、この天皇制をめぐる民俗学的な論証からは否応なく柳田民俗学を相対化せざるを得ない要素が多々あってその徹底した解析と論考はさすがに説得力がある。そのことは著者の作法といえばいいのかあるいは流儀として、天皇を中心とした歴史的価値の呪縛から解放されるべく歴史的、文化的な重層性をたどるところから相対的な論考を企てるほかないのだ。

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