数研講座シリーズ 大学教養 微分積分 の感想

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参照データ

タイトル数研講座シリーズ 大学教養 微分積分
発売日販売日未定
製作者加藤 文元
販売元数研出版
JANコード9784410152290
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 数学 » 微積分・解析

購入者の感想

1 全体が非常にわかりやすい。これは、無駄なことを書いていないからで、したがって薄い。行間「すかすか」の組み方で、カラー印刷。本文339ページ。それでごく初歩の線形微分方程式入門まである。本書を、たとえば、松坂和夫の解析入門1,2と比較すれば明快さは一目瞭然。松坂著は、雑学だらけ。寄り道がたくさんあって、読者は迷宮入りしてグロッキー。何を書いてあるのかわからない。杉浦・解析入門もまったくおなじ。杉浦著も何でもかんでも詰め込んでいるので、微積の骨というかエトスがきわめてわかりにくい。杉浦解析本は、買っても誰も最後まで読まない典型なのは駒場ではチョー有名。こんなんじゃあアキマセンワというわけで、本書は、好球必打。ストライクだけを狙い必ずヒットさせる感覚がある。もうひとつ比較の対象をあげると、石井俊全「一冊でマスター大学の微分積分」。石井著は、証明ほとんどなし。だが、はっきりとしたメリハリがあり、派手好みの実利(=単位取得すればOK)絶対優先。要するに、焦りまくっている大学生に売るための小道具まんさい。対して、加藤文元著は、証明はかならずつけてあり、実数論もしっかり書いてある。ということは、こちらは最低限のモラルは維持しているゾ、単なる売るためのテキストではないゾ、という意味であろう。

歴史的な視点も示されている。たとえば、241ページのコラム(「接線法と極値問題」)。ここでは、オイラーの三部作中の一冊「微分計算教程」からの引用があって、デカルトの葉についての簡略でまことに要領のいい紹介がある。デカルトの葉については、高瀬正仁先生の「オイラーの難問に学ぶ微分方程式」で解説されているとおり、近代微積分(および物理学)のひとつのアポリアであって、微積を深く理解しようと思えば、避けて通れない。たったページ一枚だが、深遠な近代数学史を瞥見させる工夫としては、なかなかものものだとおもう。


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