オペラの運命―十九世紀を魅了した「一夜の夢」 (中公新書) の感想

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参照データ

タイトルオペラの運命―十九世紀を魅了した「一夜の夢」 (中公新書)
発売日販売日未定
製作者岡田 暁生
販売元中央公論新社
JANコード9784121015853
カテゴリエンターテイメント » 音楽 » クラシック » オペラ・声楽

購入者の感想

オペラについての本というと、ともすればオペラの価値を無条件に認め熱く語ってしまうものが多い。しかし、本書は、時代や社会的背景と絡め、ちょっとシニカルな視点でオペラを考えてみようというものである。このため、全くの初心者には不向きなところがあり、ある程度オペラ芸術に触れたことのある人に向けた通史といえるだろう。
シニカルな視点は例えば「オペラになじめない人のための注釈」なる個所が存在することにもよくあらわれている。また、著者はオペラのこれからの運命について、高級文化産業や郷土芸能として生き残っていくのだろうかという問いかけをしている。
これについては、私などは、これだけテレビやビデオが普及した現在においては、逆に生の舞台の価値が増すことはあれ減じることはないと思うがどうであろうか。歌手と同じ空間にいることができ、拍手やブラボーの掛け声などで舞台上と会話のできる場というものは、一方通行的な各種メディアに過食気味の現代人に大切にされうるのではないか、と希望的に捉えた次第である。

『西洋音楽史』で「おっ!」と思い、『CD&DVD51で語る西洋音楽史』で完全にファンになり、『音楽の聴き方』で大いなる敬意を抱くようになった岡田暁生の初期の新書を遅ればせながらに手に取った。
この他にも『ピアニストになりたい!』は、勿論刊行後すぐに買っていたが、現在は「読まない読書法」(ピエール・バイヤール)で愉しんでいる最中だ(?)。

本書も期待にたがわぬ好著。評者がオペラに詳しくないだけに一層勉強になる。

「音楽など楽しけりゃよい」という大向こうの音楽観に就いて、著者はそうではなかろうと一貫して主張している。これはある意味で孤独な闘いだ。相対主義のなかで一人戦う暖簾に腕押しの闘いなのだから。その理論的マニフェストとも言えるのが、最新刊の『音楽の聴き方』(中公新書)だ。これは本書や音楽史の仕事の方法論を説いたものともいえよう。

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